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2002年03月03日(日) 強さ。

ユウが亮介に私の気持ちを言った次の日。
学校で亮介はずっと寝ていた。

私はユウに
「私のせいかな・・・」って聞いた。
「だろうね。」ユウは何のためらいもなく答えた。

亮介は罪悪感に悩まされていて。
自分をすごい責めている。とユウに聞いてから。
むしろ自分の方が。
私が責められるべきなんじゃないかと思えた。

自分から気持ちを伝えておいて。
いざ「もう少し待っとけ」って言われたら「いらない」だなんて。
自分勝手すぎるよね。

だけど。
それでも私は。
亮介から何か言ってくれるんじゃないかって。
私は返事なんかいらないって言ったけど。
それでも亮介は言ってくれるんじゃないかなって。
そんな・・・儚い希望をもっていた。

だけど。
その日亮介は結局。
1時間目から5時間目までずっと寝ていた。

私はそんな亮介を見るのが耐えられなくて。
5時間目の途中に。
亮介に手紙を書いた。
ノートの切れ端だったけど。

「あの事は気にしないでください。自分をあんまり責めすぎないで。
 今度また宿題見せてね!!」

って。
その時の私にはそれが精一杯だった。
亮介に出来る、精一杯だった。
そして授業が終わってから亮介に渡した。

その頃、亮介は隣の席の理紗と仲が良かった。
亮介と理紗は。
小5のときからずっと同じクラスで。
しかも、塾も一緒。
理紗は成績優秀、運動神経抜群。
そして、おもしろい。
そんな理紗とずっと仲がよくて。
私の視界に嫌でも仲良くしてくる姿が目に付いて。
すごい辛かったのを今でも覚えてる。


ある土曜日のこと。
朝の掃除時間にいきなり亮介に話し掛けられた。
「ねぇ、あのシャーペンあげよっか?」
あのシャーペンとは。
私が2学期からずっと亮介にねだっていた、Dr.GRIPの青のシャーペン。
なんてことない普通のシャーペンだけど。
亮介はグリップの中の青色が気に入らなかったらしく。
わざわざグリップの中が透明なやつを新しく買って。
その青のシャーペンのグリップの中を透明にした。
1000円かかっているシャーペン。
すごい、軽くてふりやすくて書きやすい。
だから私は亮介にずっとずっとそのシャーペンをねだっていた。
だけどいつも返される言葉は「嫌」。
それなのに、ある日突然言われ。
相当ビックリしたのは言うまでもない。
「え?なんで?」
「壊れたから。」
「壊れたのでもいい。私が治してでも使うからちょうだい。」
「相当壊れてるよ?」
「それでもいいよ。意地で治す!」
そうやって私は亮介のシャーペンを手に入れた。

・・・本当にどうやったらこんな壊れ方するの?ってくらい。
見事に壊れていた。
だけど、絶対に治してやる。という意地があって。
ちょうどその日の1時間目は教科選択だったので。
さっさとプリントを終わらせてめぐみと一緒に必死に治していた。
めぐみも私の亮介のシャーペンにかける思いは知っているため。
一生懸命治すのを手伝ってくれた。

そして、3時間目にようやく無事に使えるまでに回復した。
それを見た亮介が
「は?マジで?あそこまで壊れたの治したの??」って。
「ってかそれ使うの?」
ビックリしていたけど。
「半年間もそのシャーペンに片思いしてたんだから当たり前じゃん!!」って。
笑顔で返した。

今でもそのシャーペンはもちろん使ってます。
高校でももちろん使うつもり。


だけど私はその頃。
亮介を想う事に疲れていた。
私は亮介が好きで。
亮介に告ったのに。
亮介は今までと変わらぬ態度。
それは全然かまわないんだけど。
私の気持ちを知っているのに理紗とすごい仲がよくて。
それに、滅多に女子のことをあだ名で呼ばないのに。
とある女子のことを。
亮介たちしかわからないあだ名で呼んでいた。
その事実が、私が亮介を想う気持ちにブレーキをかけた。

そして。
また。ユウに惹かれていった。
「弱いモノは強いモノに惹かれる」
私にはその言葉がよく似合う。

ここで。
どんなに辛くても亮介を想える自信がなかったから。
私は・・・・・・いつしか亮介よりユウのほうが気になっていた。

私がもっと強かったなら。
私がどんなに辛くても亮介を想い続けていられる強さがあったなら。
今頃こんなに悩んでなかった…と思う。


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