日々妄想
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2006年03月03日(金) だからオチのない話を書くのが大好きです。

どうも。
夜は2時〜3時に寝て、朝は6時〜7時というオタな生活をしているぶーぶーです。
アビスについて語ろうと思ったのですが、打ちながら泣く泣く。
なんでこんなに熱いんだ、自分…って思うくらい。
ううん、でも思わず熱くなるの!そんな罪なソフトなの!と、ちょっとイタイ子になりそうなので、一日お休み。
この下にはいつものオチのない駄文。
陛下絡みです。
しつこようですが、オチはありませんから!






「今でこそ心の篭ってない社交辞令やうさんくさい笑顔のあいつだが、昔なんか無愛想で無口で冷徹で……、あー!思い出してもちっとも可愛くないガキだったな」
日課となっているぶうさぎ散歩を終えて、彼らの居住スペース、つまりは陛下の私室なのだが、そこにつれて帰った時に暇を持て余していた陛下の昔話に付き合う事となってしまったのだ。
陛下は可愛いリボンをつけたぶうさぎを膝にのせ、俺は少し気の弱いところのある新入りを膝にのせて向き合う形となる。
優しげな表情でぶうさぎを撫でながら
「あんまり可愛くないもんで、どうにかあいつをギャフンと言わせてやろうといつも考えてたもんだ」
「ギャ…ギャフンですか…」
突っ込みたいが、親しげに接してくれているとはいえ相手は皇帝陛下だ。
使用人暮らしが長かった俺は、突っ込みは心の中で行って話に耳を傾けた。
「そういえば、ある日雪山に探検をしに行こうと思いついたんだ。それにはお供が必要だ。地元で地理に詳しく同年代ともなるとあいつらしかいないから、泣いて嫌がるサフィールと、無言で突っ立って身体全体で拒否しているジェイドをなんとか説得して探検したわけだ」
せっと…く?
何の言葉を言えばあのジェイドの旦那が動くのか知りたい気もしたが、おそらく聞いたところで何の役にもたちはすまい。
陛下の持つ子供じみた破天荒な言動に呆れる事もしばしばだが、憎めない。
屈託のない笑顔を向けられると、付き合いの浅い俺でも「仕方ない」と陛下の我侭に付き合う事になる。
光り輝く太陽には誰も逆らえないのだ。永久氷壁をまとったあの男でさえも。
「楽しかったぞー、30分もしないうちに『遭難ってこうすればなるのだな』と我が身をもって体験したしな。サフィールは盛大に泣いて青っパナ出しているし、ジェイドは……笑ってたな」
その状況でそういう思考になる陛下もすごいが、何故そこで笑えるんだ!常人では理解できないぞ!
「笑う…ですか…。その状況で笑うなんて」
「そう、変人だろ、あいつ!」
我が意を得たりとばかりに、椅子から上半身を乗り出し、話の続きを熱く語りだした。
「しかもえらい皮肉な笑顔でな。『愚かな王の命令に妄信に従うとこうなるといういい例ですね』とイヤミをたっぷり言われたんだ」
それは言われても仕方のない状況だと思うのだが…思わず苦笑いが浮かびそうになったので、膝で幸せそうに身体を預けている新入りに目を落として軽く撫でてやる。
「それでどうなったんです?ケセテブルクじゃ大騒ぎだったんじゃないですか?」
「いや〜、そうでもないな。あれからすぐ俺たちの師匠が追いついてきて、それぞれゲンコツを一発ずつくらっておしまい、だったかな」
「運がよかったですね」
「師匠にな、伝言が届くように仕込んでおいたんだ。俺たちが出発して一時間後に」
ただ破天荒なわけではなかったわけだ。だが面白くなさそうに
「ジェイドのヤツは20分後に届くように手配してたので、それで師匠がやってきたわけだがな」
思わずクスリ、と笑ってしまう。
「おやおや、ぶうさぎを囲んで談笑中でしたか」
話をすれば影がさすというが、少し機嫌が悪そうにして大佐が入ってきた。
「お前がいかに可愛くないガキだったのか、ガイラルディアに教えてあげていたんだ」
「それはそれは。こういう場合は『大きなお世話です』と言っておいたほうがいいでしょうね。ガイだって私の幼少時代など興味などないでしょう?」
眼鏡の奥の赤い瞳が、何故か今日はとても冷ややかに感じられる。
「いやいや、興味あるよなー。まだまだネタはあるぞ」
「人の過去をむやみに口にするものではないと思いますが」
「はいはい。ウルサイのが来たから、また今度な」
さっとぶうさぎを抱えたまま立ち上がる。そのまま私室を出て行こうとする陛下をジェイドの旦那が小言を何か言っている。
あの二人が幼馴染で親友というのは、目の当たりにしてもまだ信じがたいと思うときもある。陛下はともかくとして、あのジェイドの旦那に心許す友がいるという事実に驚きなのだが。
だがジェイドは陛下と私室で会う時は、いつもと変わらぬようにみえて、その実楽しそうだ。陛下もしかりだ。
膝で気持ちよく眠る新入り、俺の赤毛の幼馴染と同じ名前のそれの背を、優しく撫でながら、遠く離れたところにいる彼を思った。


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