蓼食う虫・再 - 2002年06月20日(木) きょうは「もどかしい話」の続編に行く前に、昨日見かけたカップルの話を。 ある駅から電車に乗ろうとしたところ、僕の前に、少し長めの髪をした、結構顔立ちのいい二十代前半の男性と、そのすぐ後ろにこれまたちょっと横顔の綺麗な、その男性ともほぼ同世代と思われる女性が車両に乗り込もうとしていた。 「ははあ、このふたり、カップルだな」と思いながら、彼らのうしろから車両に乗り込む僕。 ところが、すぐに予想にまったく反する展開になる。 その男性と女性は、車内ではそれぞれ全然違う方向に歩いていってしまったのだ。 そして、その男性はどうやら、彼の前にいた女性に引っ張られていくようなのである。 彼らを目で追うと、なんとも意外な光景が。 小柄だがスマートな体つきで、端正な顔立ちの彼が寄り添ったのは、彼同様ジーンズにワークシャツ姿の女性。 失礼ながらそのお姿を拝見するに、化粧っ気のまるでないジミな顔立ち、しかもあきらかにプチ肥満体の若い女性だった。 下手すると、彼と同じくらい、あるいはそれ以上の体重がありそう。 彼らはまるで似ていないので、おそらく兄妹ではあるまい。 やはり、恋人同士だろう。 彼は彼女にぴったり寄り添い、彼女が読んでいるコミックスをしきりにのぞきこんでいる。 実に仲がよさそうなのである。 「うーーーーむ」 僕は、内心、深くため息をついてしまった。 この男性がこの女性を選んだのは、もちろん、彼の趣味嗜好だから、他人の僕がとやこう外野から文句を言う筋合いなどないのだが、それにしたって、なんとも腑に落ちない組み合わせ…。 で、こう考えた。 彼だって、別に、世間一般に「綺麗」といわれている女性にまったく興味がないわけではないのだろう。 ただ、過去において、何人かそういう綺麗な女性と付き合おうとこころみた結果、その都度、かなり「いやな思い」をしたのではなかろうか。 相当心を傷つけられるような目にあい、その結果、「綺麗な女性はもうイヤ」ということで、相手の容姿にまったくこだわらなくなったのではないか。 しかし、そういう考え方自体、もしかしたら、まったく「的外れ」なのかもしれない。 というのは、きょうび、生身の人間同士の出会いからではなく、ネット上の出会いから交際を始めるカップルも少なからずいると聞くからである。 たとえば、同好の士によるチャットがきっかけで付き合い始めるケースも多いらしい。 知り合って、相思相愛になってかなり時間がたってから、初めて生身の相手に会うなんてことも稀ではないようだ。 電車で見かけたカップルも、まずはネット上で、たとえばコミックスの趣味などがバッチリ合って意気投合し、その後、実際に交際を始めたクチだったのかも知れない。 前にも書いたことだが、男というものは、「自分にうちとけない美女」よりも「自分にうちとけてくれる非美女」のほうを選ぶもの。 はた目ではいかにもミスマッチなカップルではあっても、実は120%の相性なのかも知れない。 うーん、男女の仲って奥が深い。 ...
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