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■私の私のカレーは、かなり危機
2008年07月11日(金)
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おとといのことになるが…仕事から帰って来るとカレーの匂いが漂っていた。

「今日はカレーか…」

と誰にでもなく呟くと

「Rカレーだからね」

奥から嫁の声がした。

「ああそうか、9日だからね」

我が家では毎月9日はカレーの日である。娘・R(4才)が生まれたのが8月9日。Rが生まれる直前、嫁の破水したので病院に電話をしたら「1時間後に来て下さい」と言われたので、それまでに腹ごしらえしとくべか、と僕がカレーを食ったことに基づく。

むかしむかし伊藤博文が宮島を訪れた際、茶屋でお茶を出した娘の手を見て

「もみじのように可愛い手じゃあ、食べてしまいたいのう」

と言ったのをヒントに茶屋の女将が思い付いたのが「もみじ饅頭」である、みたいなそこらへんによく転がっている故事のようなものである。

そんな由緒ある(?)カレーをしみじみ食べながら湧き上がる感情はひとつ。すなわち悲しみ。

「ああ、来月でもう5才になってしまう…」

おとといはR4才最後のカレーだったのだ。無論子供の成長が嬉しくない訳はない。今まで無事すくすく育ったことを安堵し、取り敢えず今のところ可能性だけは無限大の将来を想像することはエロな妄想をするよりも楽しい。

しかし成長することによって失う楽しみもある。それがなくなるのが悲しいのだ。辛いはずのカレーが涙の隠し味により妙にしょっぱく、

「あとどれくらい一緒にお風呂に入れるんだろうか…」

おとといからそんなことばかり考えている。いつかひとりでお風呂に入る日は必ず来る。カレーを食べる度にその来たるべきXデーに1歩1歩近付いているのだ。

仮に10才まで一緒にお風呂に入るとすると、あと5年しかない!もう折り返し地点なのである。また、毎日お風呂に入れるわけではない。仕事が休みの日のみである。平たく土日のみ入れるとして計算すると、週2日であるから

365(日) × 5(年)× 2/7(土日)=約521(日)

あと521回しか一緒にお風呂に入れない!この数字を多く取るか少なく取るか、僕の希望は死ぬるまで一緒に入ることなので当然少なく思う。

「正月や 冥土の道への一里塚…」

という一休さんのお言葉にもあるように

「Rカレー パパいやーんの一里塚」

でありめでたくもありめでたくもなし。

おとといのことをずっと引き摺ってこんな計算と妄想までしている僕。1日でも長く一緒に入ってくれることを願う。僕はそれまでずっと言い続けるだろう。

「R、一緒にお風呂入ろう」

と。しかしいつかは言われるんだろうなあ。おとといからの妄想だけに

おととい来やがれ、って。なんつって。

だからいつかは覚悟をしなければならないのである。カレーだけに

腹をククレカレー。なんつって。

おお、オチがふたつも。

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