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■真夜中は別の顔
2008年06月28日(土)
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よく「俺の車の助手席は女性専用なのさ」なんて話があるが、僕の場合は

「僕のベッドの隣は女性専用寝床なのさ」

である。しかもセーラー服を着ている女の子専用。こう書くと「援交」とか「淫行」等の言葉が容易に想像出来、すぐさま犯罪にてギルティなのだが、そのセーラー服は幼稚園の制服で、無論その女の子も娘・R(4才)である。

Rはいつも僕の左側で寝ているのさ。僕は死ぬまでRの左側に寝ているつもりだ。どこぞの馬の骨と一緒に寝るなどまかりならぬ。

ある日の夜中、

「うーん」

というRの唸り声と共に肩を揺らされて目覚めた。時計をチラリと見ると午前3時半。

「んー…どうした?」

頭が半分以上寝ていながら辛うじてRに声をかけると

「パパ、お顔こっち向いて!」

「あー…はい」

横向きになりRと顔を合わせると、Rはそのまま寝てしまった。怖い夢でも見ていたのだろうか…と考えつつも頭が回らなくて僕もそのまま寝た。

翌朝。

「きのうね、夢にパパが出て来たんだよ」

とRに言われた。じゃー何かい。僕が出て来たから怖い夢だったのかいと突っ込もうとすると

「でもね、パパのお顔が違ってたの」

それ怖い!僕が僕の顔でなかったって、なんだ。僕自身が一番怖い。しかし何故僕の顔じゃないのにパパだと分かったのだろうか。もしかしたら、実は僕が仕事でいない間、嫁が密かに別のパパと称する人物と会っているとか。

「そのパパはどんな顔をしていたの?」

僕が見限られる日が遂に来たのか…と脂汗を流しながら聞いてみると

「えっとねー、あっちょんぶりけ」

アッチョンブリケピノコ
アッチョンブリケ!

アッチョンブリケとは、手塚治虫のマンガ「ブラックジャック」に出てくるピノコという女の子が、ほっぺたを両手で潰す表情のこと。Rが産まれてから僕が最も早く仕込んだ芸の1つである。

「パパはずーっとアッチョンブリケしてたのかな?」

「うん」

Rの頭の中では僕はどういう扱いを受けているのだろう。現実の世界でも挙動不審に見られがちなのに、Rの夢の中で更に磨きがかかっている。見知らぬパパの存在疑惑は晴れたが、あんまりかっこいいパパには映っていないようだ。

すなわち、親の顔がひどい!

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