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■娘が見た幽霊
2008年05月29日(木)
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仕事から帰ってきたら嫁も子供達も寝るところだった。

「パパも寝よ」

と娘・R(4才)と息子・タク(2才)に急かされて僕も布団に入らされた。嫁とタクはすぐガーガー寝てしまったがRがなんかウキウキしており、

「パパのおっぱいはここかな〜?」

僕の乳首をつまんで執拗に攻めるので

「パパもつまんじゃうぞ〜」

「いやーん」

Rにやり返したりして文字通り乳繰り合っていた。ケラケラ笑っていたRだったが、急に寝室のドアの向こう側を指さし

「…あれは誰かな?」

と恐ろしいことを言いおった。ドアは半分ぐらい開いておりその先は暗い廊下が見える。僕が見てもその暗闇の中には何も確認出来なかった。

「だ、誰かいるの?」

まままままままさか。幽霊?

「うん。女の人かな?」

背筋が凍った。一体誰なのかと聞きたかったが、聞いてしまうとその霊を刺激してしまい、

「サダコ…」

とか聞こえてきたらものすごいヤダ。もう鳥肌が立ってしまった。しかしRは全然平気である。まだ幽霊なんて理解してないのだ。別に何が見えようとどうでもいいらしく

「ぼーくらはみんな、いーきているー」

既に興味を失って歌ったりしている。R、その歌もまずい!

「私、死んでるし」

なんて声が聞こえてきたら洒落にならないでしょー!

「R、も、もう遅いからお歌やめようね…」

「はーい。じゃあ寝るー」

いつもははしゃいでなかなか寝ないくせに、こういうときに限ってお利口さんでとっとと寝てしまった。起きているのは僕だけじゃないか。怖いじゃないか。

恐る恐るドアの向こうを見てみる。やはり暗い廊下以外何も見えないが、Rのひとことで充分恐ろしい光景になってしまっている。あの中に見えない誰かがいると思うと…トイレ行けない。トイレはその廊下を通らないと行けないのである。

寝る前はトイレ行こうね、といつもRに言い聞かせている父の威厳が台無し。どうしよう。このままではおねしょしてしまう。

「おおそうじゃ。タクのおむつをはこう」

とセルフおむつプレイを試みたがきつくて無理だった。嫁を叩き起して一緒に行かせようとも考えたが、そんなことをしたら嫁は怒るに決まっており、貞子より怖いものが増えるだけ。

暗闇の重圧と尿意が僕を追い詰める。さてどうしたものか。

幽霊と、終電を逃した僕はよく似ている。

どちらも足がない!

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