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■シークレット・シークレット
2008年05月11日(日)
朝起きると娘・R(4才)がそっと耳打ちして来た。

「あのね、ママとたっくん(2才の息子)には秘密ね。Rちゃん、ホットケーキ作るのよ」

何故秘密にする必要があるのか分からなかったがとりあえず

「分かったよ。ふたりだけのヒ・ミ・ツね☆」

鼻の頭をツンと突いて返事をしておいたら5分後、嫁が

「Rちゃーん、ホットケーキ作るから台所おいでー」

「はーい」

全然秘密じゃないじゃん!ホットケーキだけに、蜜と秘密は欠かせないってか。ていうか単に秘密を作ってヒソヒソ話をしてみたいお年頃なのだと思った。

ともあれ、娘がお料理する姿に惹かれない父親はいない。僕もRがボウルに入れたホットケーキミックスをまぜまぜしているところを後ろでウロウロしながら覗いていると、

「昨日モナちゃん(Rの幼稚園クラスメイト)のお弁当がホットケーキだったんだって」

横でアシストしている嫁が語った。だからRにもホットケーキブームが到来しているのだろうか。

「で、そのケーキってモナちゃんパパが焼いてくれたんだって。偉いわあ」

ボンカレーしか作れないボンクラーな僕への当て付けだろうが、その誘いには乗らぬ。

「そうだねえ。偉いねえ。ホットケーキなんてなかなか作れないよ」

適当にスルーすることを試みたら

「誰だって作れんのよ!Rだって今やってるでしょ!」

と反撃されギャフン。僕は料理を知らないので難易度も分からないのだ。嫁は更に

「ま、でもあなたは作れないでしょうけど」

しれっとした笑みを浮かべて追い討ち。台所は女の戦場…完全にアウェーの僕は最早これまでとトンズラすることにしたが

「ねーねー!パパ見て!」

Rの「私を見て」攻撃に捕まってしまった。Rはカカオパウダーの袋を持っていた。チョコ味のホットケーキも作るようである。パウダーを投入するところを僕に見て欲しいのだろう。

「はいはい、パパ見てるよ。その茶色い粉は何かな?」

「おかかパウダーなのよ」

おにぎり作る気か。

一方でタクは何をしていたかというと、隣の部屋で畳んだばかりの布団に潜り込んで遊んでいた。

「たっくんもお料理するか?」

「やだ」

お、血は水より濃しってやつ?どうやら我が血を引く男は料理を拒絶するらしい。僕もタクもホットケーキぐらいは作れるようになった方が…いいよねえ。

とりあえず僕らにはホット性器があるのさ。

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