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■髪の見えざる毛
2008年03月04日(火)
「今日はどんな髪型にしようか?」

朝、嫁が娘・R(4才)の髪型をセットしようとしていた。この母子の姿。僕は男兄弟育ちなので物珍しくも微笑ましく思え、女の子っていいなあと眺めることもしばしば。

「えーっとねえ、きゅあどりーむ!」

Rのリクエストはプリキュアのキャラ、キュアドリーム。

夢原のぞみ
Rが一番好きなアニメの主人公である。

「はいはい」

嫁は簡単に返事をするが、二次元キャラの髪型を再現するのは難しい。スネオの頭を三次元で再現するのは事実上不可能である。果たしてその結果は…髪のみぞ知る、なんつって、と固唾を飲んで見守っていると

「できたー」

なにやら出来た模様。

「うーん、キュアドリームか?それ…」

僕がその出来映えを見ていまいちピンと来ないと言うと

「どりーむなの!」

Rは言い切った。さすがに完璧な再現は無理だろうから、あまりケチを付けるのは野暮というものだろう。そう思い直して

「じゃあドリーム、お外に遊びに行こうか」

「うん」

Rを公園に連れて行き、遊ぶことにした。

「パパー、いっしょにコンサートごっこやろー」

公園にて遊び始めると、先ほど「まあそんなもんか」と思えていた髪型が再び気になった。やはりキュアドリームとはちょっと違うのではないか。時間が経つにつれ違和感がどんどん大きくなる。試しに写真に撮ってみようかと

「はいRちゃん、ちーず」

R
デジカメを向けると生意気にデルモポーズ(ダイエーチラシ系)をキメるなまいきシャルロット。この画像を見て確信した。僕の心に引っ掛かっていたものがはっきりと分かった。これは

夢原のぞみ
キュアドリームというより、

バイキンマン
バイキンマンだ!

「…バイキンマンみたいな頭だな」

胸のつかえが取れ、ついうっかりRの前で言ってしまったら

「パパだいっきらい!」

思いっきり嫌われてしまった。だいっきらい…だいっきらい…だいっきらい…ああ…そうだよな…乙女心を傷つけてしまう…僕は罪なオヤジ…。

「だいっきらい」の言葉が頭の中を羅睺星の如くぐるぐる回り、いっそ滑り台の上から身を投げようかと思ったが、ふとポケットに手を入れるとラムネ菓子がひとつ。おお、神よ。これが僕の投身を止めた。

「Rちゃんごめんな。これあげるから。それでもパパ嫌いか?」

とRのご機嫌を伺うと

「だいすき」

起死回生の一撃!ああ、髪の毛ひとつで娘に嫌われたらたまったものではない。

文字通り危機一髪なお話であったとさ。

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