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■嫁の春雷
2008年03月03日(月)
日曜の朝、娘・R(4才)と息子・タク(2才)は盛り上がる。

「YES!プリキュア5GoGo!」があるからだ。どうでもいいが変なタイトルのアニメである。君達プリキュア5、ゴーゴー。

プリキュアが終わった後は外に遊びに行くのが常。ところが今日は違った。

「アンパンマン見るー」

「たっくんもアンパンマン!」

引き続きアンパンマンのDVDを見せろと言ってきた。

「アニメばかり見てるとパパみたいになっちゃうぞ。ほら公園に遊びに行くぞ」

今でこそ家の中万歳な僕でも子供の頃は外を駆けずり回っていた。鬼ごっこにかくれんぼにドロケー、カンケリ、ピンポンダッシュにスカートめくり。子供は風の子である。アニメを捨てよ、街に出ようと呼びかけたら

「やーだー。外は寒いもん!」

このヘタレっぷり。風の子である前に僕の子であった。公園に行く、行かないの押し問答が暫く続いたが、テコでも動かない子供達にとうとう僕が折れてアンパンマンのDVDをスタート。DVDを回している間も

「ねえ君たち、外に行かないかい?」

何度か誘いをかけたがウンとは言わぬ。ようやくDVDが終わり

「さあ今度こそ公園に遊びに行くぞ」

と外に行く準備をすると子供達は

「じてんしゃこうえんがいい」

と言うではないか。自転車公園とは自転車や三輪車を貸してもらえる比較的大きな公園で、Rもタクも大好きなのだが若干遠い。

「自転車公園はダメだよ。アンパンマン見たからもうこんな時間だし、行くのに時間がかかるから着いたらすぐお昼になっちゃう」

すぐそばの公園にする、と決断を下すと

「やーだー。じてんしゃこうえんがいいのー」

Rが駄々をこね始めた。ここで雷を落としたのが嫁である。

「パパがずっと『外に行こう』って行ってたのに行かなかったRちゃんが悪いんでしょ!」

どかーん。Rは僕に救いの視線を送って来たが、キッと睨んで「ダメです」と目で語った。Rは見る見る顔を歪めて

「うわああああん」

とうとう泣いてしまった。

「自分が悪いんでしょ!泣かないの!」

更に嫁は容赦なく怒る。そんな中タクは何をしていたかというと、嫁の側にちゃっかりと立ち、嫁のお説教にいちいち

「そうだよねー」

と相槌を打っていた。姉を裏切りすさかず強者の側に着く。スネオみたいな奴だ。

「タク、お前も同じだろ…」

僕がポンと肩を叩くと

「そうよ!何が『ソウダヨネー』よ!」

嫁もすさかず矛先をタクに向けた。すると

「ぶわあああああ!」

澄ましたスネオヅラだったタクも瞬時に号泣。まったく生理中の女性をイラつかせるものではない。タクにこのことを教えてやれるのは何年後になるだろうか。

僕だって泣きたい。ふたりとも大泣きでどう収拾つけんだコレ。ちょっとDVDを見たいのを我慢すればよかったものを。僕も夜な夜な悶々としているが上記の理由で女色(にょしょく)を絶っているのだ。

泣きたければ泣くがいい。しかし我慢は必要だ。

これを「泣いて女色を斬る」といいます。

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