「パパ、あけましておめでとうございます」
「あけまひておめでとーござます」
元旦、起きてきた娘・R(4才)と息子・タク(2才)がきちんと新年の挨拶をした。おそらく嫁に言うように躾けられたのだろう。子供には「開けまして…」と言わせるくせに、昨晩お股は開けてくれなかった。嫁はそういう人間である。しかし子供達には関係ないことだ。
「はい。おめでとうございます。おじいちゃんにもご挨拶してね」
仏壇の父にも新年の挨拶をしてくれよ…と手を合わせるように言うと、ふたりは代わる代わるおりんをチーンチーンと鳴らしまくり
「おじーちゃん、おたんじょうびおめでとうございます!」
これは嫁には躾けられてなかったようだ。
昼飯を食べてから父の墓参りへ。
「よーいどん!」
「まてまて〜!」
早速墓場で運動会を始めるRとタク。
「やめれ!鬼太郎かお前らは!」
うちの田舎では墓地で転ぶと3年以内に死ぬると言われているから…とか言ってたら早速タクが転んでいた。もう知らん。
父の墓前に立ち、花と線香を奉げ
「はい、じゃあおじいちゃんに手を合わせてな。おたんじょうびおめでとうじゃないからな」
僕とRとタクが3人で手を合わせる。
「おじいちゃん、あけましておめでとうございますと言うんだよ」
「おめでとーございます」
とR。
「めりーくりすます」
とタク。お前わざと言ってるだろ。
命日と正月ぐらいしかなかなか墓参り出来ないのであるが、墓前に嫁と子供達を立たせると、父が目を細めて眺めているような雰囲気を感じるのである。おーよく来たな、孫、大きくなったな、と言っている気がしてならない。父はここにいる。千の風になどなっていないと思う。
そして僕も父に「どうだ、調子は」と語りかけられているような気がする。実は自分自身の内なる声が父のイメージを借りて自問自答しているだけなのかもしれないが、僕は父のお墓にこう答えるのである。
墓地墓地でんな。
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今日もアリガトウゴザイマシタ。