銀の鎧細工通信
目次|前|次
| 2006年09月08日(金) |
TooLate (スクアーロと山本) |
そんなこと云っても、生き死になどかけるようなことか? ボスになろうがなるまいが、いつだって命を狙われるのがマフィアだろう? 負けたからといって引き下がるほど仁義をわきまえた世界か? リボーンが時折ぽつりと肩の上で呟く。 「また、骸だ」 聞いた限りでは、人並みを外れた能力の持ち主だ。有り得ないことでもないだろう。 ならば尚更、こんなの茶番じゃないのか? ただ俺は勝てればいい。ただ俺は負けなければいい。 その程度のゲームだ。 ただのゲームに命など、張るだけ損だろう?
殺さなけりゃいけないシチュエーションではないんだから。 「命を賭けるゴッコ」遊びなんか、暇潰しだ。
水に満ちた空間は天井が高く、湿度ではない水気が心地よい。 水を含んだ長髪はひどく重そうだ、ちなみにその黒いコートも。とぼんやりと思う。 殺す気まんまんの相手に対しても、いまひとつ気分が乗らない。それは死を切迫して感じることとイコールではなかった。負ければスクアーロは山本を殺すだろう。けれど、山本に負ける気はない。 「生まれもっての殺し屋だってな」 (聞こえてるぞ、おい) 苦笑が漏れるたびに、ぴくりと眉を跳ね上げる。余裕のつもりなのか、と声に出さず呟く声が聞こえるようだ。「ちげーよ」と云えば三白眼を見開いた。 こんなことで、こんなところで、別に殺す必要なんかないんだろう? ただ単に、相手の不意をつくのは面白い。翻弄するのは面白い。それによって流れる自分の血などは気にならない、安いものだ。 「ちょっとギリギリのセックスみてーだな、って思っただけ」 水音で外野に会話は聞こえない。山本の意図が伝わるのはスクアーロだけにだ。 いつものくせで(本人は意識していない)片方の眉を歪めて笑う。はたから見れば、山本こそ血まみれの傷だらけでズタボロだが、本人はそれすらも楽しんでいる。この小奇麗なままのスクアーロを一瞬で逆に転じること、その方が面白い。 「生意気云うな、ガキが」 妙にべらんめぇで、変な濁音のつく日本語が面白い。 (どこで日本語覚えたんだろうな) 「あんたは、マゾっぽいよな」 てんで別のことを感じながら、適当に言葉だけは返す。相手にとっては非常に虚しいキャッチボール。 母国語で毒づき、繰り出される剣を受け止める。足を重くする水が気持ちいい。重くだるい体に、まとわりつく水気、剣を持つ手だけが痺れるように熱い。 「あんたは気持ちよくねーの?はじめっからいやに俺に構うじゃねぇか」 じりじりと絡み合う刃、近寄りすぎれば長い髪が山本にもはりつく。 「それはお前の獲物が剣だったからだ、お前自身になんざ興味はねぇよ、イカレたガキだ」 目の前の顔をちらりと見上げて「ふうん?」とだけ鼻を鳴らすように応える。剣への執着が、負けないことへの執着が、無様にオスの匂いをふりまいているというのに。 「それにしちゃ、切羽詰ってんな」 場にそぐわない屈託のなさで笑う。
なんなんだ、このガキは。 殺気も威圧も、すべてするすると受け流して。まるで戯れて遊んでいるようだ。自分へ向けられた情動と。 どんな他人の感情も呑みこみ尽すような。 するりと柔らかいところを流れて滑り落ちていく水のような。 触れられたくない部分を、暴くのではなく、探し当ててそこに流れ込んでくる水。浸食される感覚。 名前こそこんなだが、それは獰猛さと残忍さにおいてつけられただけであって、スクアーロ自身は水に親和性はない。だのに、山本はわずかな隙間からも水のように滑り込んでくる。 なんなんだ、このガキは。 感情としては相当に不愉快であり、その考え無しに入り込んでくる意識の方向性はひどくスクアーロを苛立たせた。何を勝手に入り込んでくる、と拒みたいのに、感覚としては穏やかで何の刺激も受けない。 こんなものは、要らない。 流れ込んでくるな、入り込むな、忘れたいものに触れるな。 (どうして俺は笑っている?) ただ勝ち負けにこだわり、剣士の誇りにのみ固執していたこれまでのヤツらとは違う。 (何もかも晒しているようで、実は暴きたいのか?見たいのか?触れたいのか?) 「気に入ったぞ、刀小僧」 ぶった切り、中身を剥き出しにする刀の性質そのものだ。逆に、美しく切り裂いた中身に触れてやる、その精神を貫いて殺してやる。
「お?挑発に乗ったな?」 にかっと笑う表情は、淫乱そのもの。 殺し合いと性欲が一緒くたになった、変質的な欲望の塊。
水に、呑まれる。
END
あー・・・っと・・・スクアーロ×山本が書きたかったんです。 ずっとそういう妄想をしていましたが、オフィシャルで山本は「生まれもっての殺し屋」でしたねえ。 悩まずあっさりひところしちゃう。 うーん、銀鉄火の中で相変わらずラビは三村(BATTLE ROYALE)的ですが、山本はだめだなぁ、頭はおかしいけど脆さがない。 なんていうか、バトロワでいうなれば、光子だ・・・山本め。 ビッチか、そうか、ビッチで行こう、と思いました。 もう山本受けに飢えているのに、自家発電すると攻めっぽくしかならないなんてキャラクターは初めてかも知れません。 カカシ(NARUTO)的な襲い受でいくしかなさそうです。自分の持ち札では。 うう、でもそれにしたって中学生だろう?見せびらかす傷とか過去とか無いと、つけこませるファクターにかけるぞ、山本め。 隙がないぞ、山本め。
・・・もう、ただひたすらに、アバズレ路線・・・ぶつぶつ。 もう今回は、全部知ってる山本にしました。確信犯で変態。
|