銀の鎧細工通信
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| 2005年06月12日(日) |
OK ? WEAPON. (エリクロエリ) |
ああ、貴方に噛まれるのはとても怖いわ。 ああ、けれどとても気持ちが好いの。 貴方と私でなければ出来ない事なのよ、ねえとても甘美だと思わない? 互いを殺してしまうギリギリの境目で戯れる、遊びなんてとても呼べない 殺し合いのような遣り取り。 イノチガケノレンアイ、ってヤツ?聞いたことしかないけどね。
エリアーデはアレイスターの祖父のなめきった巨大な肖像画を 睨み付けた。挑戦的に。 (フン、死んだアンタになんか興味は無いけど、アンタのお陰で アレイスターはコンプレックスの塊で孤独なのよ。感謝してるわ御爺様) 無理矢理に作った勝ち誇った笑みは、聳え立つ高い高い天井への暗闇へと 吸い込まれる。黒と赤の城。 いつまで保つか解らない、期限付きのレンアイ。 しかも紛い物。 箱庭で造り上げた虚像。
千年公からの催促は無かった。 お供に、と持たされたアクマを壊した事くらいとうに露見しているはずだのに、彼はエリアーデに何も云っては来ない。 使いの者も偵察も寄越していないようだ。 (そうね、私は彼の殺人兵器。使い捨ての玩具の一つ) 階段の手すりに凭れる。 (多少の予想外の出来事の方が楽しいんでしょうね) ふ、と溜息をつく。 溜息は美容に良くないだなんて、君に溜息なんて似合わないだなんて、 云った人間もいた。 けれどエリアーデは知っていた、ままならない出来事や感情に付く溜息の美しさを。 (さあ、私はどんな表情をしているのかしらね・・・)
「・・・エリアーデ・・・?」 おずおずと声がかけられる、あまりにも弱弱しい控えめな声。 階段の下から見上げてくる心細げな顔、なんて無防備な。 「どうなさいました・・・?アレイスター様」 自然と微笑がこぼれる。 「その・・・あまりに物憂げな顔をしているものだから・・・どうか、したであるか?」 そう云うアレイスターの方が物憂い顔が地顔に近いというのに、と思うとエリアーデの笑みはますます深く柔らかいものになった。 (莫迦な人間ね) 「何も。お茶でもいれましょうか、夕食をどうしようか考えていたんですのよ」 階段を下りながら応える、その靴に包まれたつま先から足の筋肉、指の動きまで全てに意識を込めてアレイスターへと近付く。 蒼白な彼の顔色の中に悦びの色が見えるのが面白くて仕方が無い。
「さ、アレイスター様。ご自慢のピアノを聴かせて下さいまし、私はその間にお茶の用意を致しますわ」 そっと二の腕に手をやり促す、細身で尖った印象の体が強張る。 するりと指先を腕に滑らせてエリアーデは横を通り過ぎた、愉快で仕方が無い。そして満ち足りていた、自分の思い通りに自分のことを見つめる彼に。 その感情が「レンアイ」なのかどうかは解らない、誰かに見せて確認をとる事が出来るわけでもない。 不確かで曖昧で、けれど感情だけは確かに湧き上がる。 それが何と呼ばれるものであっても。
(滑稽かも知れない)
ティーポットを暖めながらエリアーデは思う。
(もう人間の感情なんて忘れてしまって、私には快か不快かしか解らないのだし、人間の様にはいかないわ。真似事は所詮真似事)
神経質そうな音でゆっくりとピアノの調べが耳に届いた、 骸骨のような指で弾かれる鍵盤は、優しくて悲しい。
(後、私に解るのは美しいかそうでないか、壊すだけが存在意義の兵器のくせにね、そんな事が解っても仕方が無いのに)
ダージリンの茶葉をスプーンで掬って丁寧に落とす、 人間の飲食物もここまで進化したエリアーデは摂取する事は可能だ。 味もわかる、特別美味しいということが解るわけではなかったけれど。
じわじわと込み上げてくる苦いものは、虚しさではなかった。 自分は満足している。 このギリギリの境目で命を交えて共に生きている事に、 そしてそうするために互いが殺している事に。人間を、アクマを。 殺しあっている上で成立している今の生活。
砂時計で時間をはかる。 さらさら、さらさら、さらさら、砂はとめどなくこぼれて落下する。 ああ、落ちきらないで、もう少し待って。 まだ、待って。 お願いだから。 もう少しでいいから、タイムリミットがあるのは、解っているから。 今だけ、今だけ、今だけ。
エリアーデはじっと砂時計を見つめる、思い詰めた表情に哀願すら含まれている。無駄と解っている事を願い、請う。 諦念と儚さを抱えた上で、赦しばかり請う。
砂が、落ちきった。
(解ってるわ、私は兵器)
(誰に許しを請うというの)
神などいない。 神の使徒はアクマを殺す。 アクマは神の使徒を殺す。
(解っているわ)
トレイに茶器を乗せて抱える、ピアノの音はゆっくりと絶えず流れ、 エリアーデを招き、そして待っている。
(いいわね?私)
(いいわね?兵器)
解っているから、砂が落ちきるまで、このままでいましょう。 その時までこうしてずっと。 静かに殺しあって、生きてゆきましょう。 このままで。
END
★6月1日のアナタ様 高杉、書きたいですねえ。ううんと・・・でも銀高ってぴんとこないんですよね・・・何だか交わらない二人、と認識しておりまして。 一定似たものを抱えているくせに、それぞれの向かうところ、見ているところが真逆なので、敢えて別のキャラと絡めてそれぞれの違いを書いてみたい二人です。ありがとうございます。
★6月4日のアナタ様 坂土、しかも『アカシアの雨がやむとき』にまで「アカシアの雨に打たれて〜♪」とすらすら歌える方にメッセージを賜って非常にうれしく思います!!!いえ、歳の話なぞ・・・ごにょごにょ。笑。 下手すれば『アカシアの雨』なんて云ったらNokkoの『人魚』ですらもう知らない世代の方も居られる事でしょう。いやはや、不思議なものでございます。其の分凄くうれしかったですのよ。えへ。 土方は死なないでしょうねえ。死ねないでしょうねえ、それこそ史実の様に、近藤が死んだとしても、真撰組があるうちは彼は何が何でも、どれだけ辛くても、狂う事も死ぬ事も出来ずに生きていくのだと思っています。だからこそ燃えてしまう、この腐女子の性・・・!苦笑。 坂本や他の人が引っ張り上げてあげられれば楽になるんでしょうけどねえ・・・。 完全に土→近がベースになったものしか書いていないので、それを一度すっ飛ばしたラブラブな土方受けも、挑戦してみたいなあと思いました。 ありがとうございました!
★6月6日のアナタ様・・・!! アナタ様のお陰で思わず咽びました!笑。 私だけが楽しいのかと思っていたエリクロエリ、よもやその様に思っていてくださる方が居るとは夢にも思っておりませんでした。 お伝えくださって本当に嬉しかったです。 まだ、それこそ燃え尽きてしまった悲恋だからこそ、もう少し二次創作で書いてゆきたいと思っております。 さて・・・今回のエリクロエリ静かな日常編は如何でしたでしょうか・・・少しでも楽しんでいただけたら本当に幸せです。ありがとうございました! アナタ様に捧げさせていただきたいと思っています、これ。あ、返品可ですからご安心を。笑。
★6月11日のアナタ様 ああ・・・こんな私の書くヘタレた高杉に需要が在るのかと思うと光栄で倒れそうです・・・!!ではでは次は高杉で!(本当に単純) 私が書くといえば主に近高そよ、なのですが、ちょっと他の方向も考えてみます、ありがとうございました!
★★『悪夢症』でメルフォをご利用くださったアナタ様、返信が非常に遅れていて申し訳ありません、じっくりお返事させていただきますのでもうしばしお待ちくださいませ。本当に嬉しかったんです!!ありがとうございます。
★★ぱのらま様、泡を吹くほどのありがたいメールにも、なにやら後光が指している状態(笑)でお返事打つ手が震えます。プリントアウトして実は何度も読ませて頂いているのです。こちらもゆっくりしっかりお返事させて頂きたいと思っております。ありがとうございます。
皆さま、お返事が遅れていて申し訳ありません。
BGM:RADIOHEAD 『オーケイコンピューター』笑。
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