銀の鎧細工通信
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2005年05月05日(木) 殴穀 (おお振り:ハルアベ)

もう長いこと殴られ続けている。
殻に閉じこもってもお構い無しに、彼は俺にねじ込んで来る。
身体だけの俺。
身体だけ殴られて蹴られて犯されて、
俺が殻に閉じこもっているのになんて、あの人は興味がない。

たまたま俺が


生け贄だったのか。





ぎしぎしと痛む身体でも、野球をした後は心のどこかが気持ちよく
勢いづいていて高揚していた。
シニアで榛名さんと組むようになる前までは。
絶対に自分の指示に首を縦に振らず、サインすら覚えようともしない、
そのことで阿部がどれだけ気を遣い、フォローに徹さねばならないか。
捕手としての自分を全て押し殺して、それでもそこから身動きが
出来ないのだ。苦痛以外の何ものでもない。


「榛名さんってゲイなの」

場所も鍵をかけたかも気にせず、阿部に触れてくる榛名に対して、
こんな時でも阿部はその手からするりと逃れて更衣室の鍵を
かけに行かねばならない。阿部が気を払わねばならない。
好き放題の榛名に対してフォローをしなければ。
かちり、と鍵を回しながら訊いた。

「何で?」
あっけらかんと訊きかえされる。

「・・・っ!」
(こいつは馬鹿か。何で俺に手を出すのか、っていう質問の意図すら
汲もうともしない!)


「そーいう訳じゃないんすね」

「おう、俺オンナすきだもん」
(・・・だから、じゃあ何で俺とセックスしようとするわけ?)
阿部は殻の中でだけ呟く。
直接云ったって無駄なのだ。
榛名は何にも耳を貸さない。

阿部の瞳がすう、と暗くなる。



「タカヤ、こっち来いよ」
傲慢で凶暴な笑いを浮べて榛名が呼ぶ。

シャツのボタンを外しながら、溜息をついて榛名の方へとのろのろ進む。
(それを云うなら俺だって同じか。俺は別にゲイじゃない、
オナニーする時にゃ男も女も想像しない。ただの物理的刺激でイケる。
・・・榛名さんとセックスするの、楽しくもなんともないのにな)


榛名の手が伸ばされ、阿部の腰が引き寄せられる。
ベンチの上に胡座をかいていた榛名の膝を跨ぐ姿勢になる。
珍しく機嫌が良い榛名は阿部の短髪に指を差し入れながら引き寄せて、
未発達な鎖骨に口付けて甘く噛み、舐める。
「ふ・・・」
阿部が洩らした息遣いに、榛名が唇を離してニイと笑う、
「お前も調教されたよな、感じ方覚えてきたろ」
満足そうに云う。
吐き出される言葉を聞きたくなくて阿部は榛名に口付けた、
舌先で唇をくすぐると榛名が其れに応えて舌を絡ませる。


(大体は痛いばっかりだ、しかも榛名さんが一方的に仕掛けることで、
俺の意思は関係ない。本気で拒否すれば殴られて終わるけど、俺は滅多に
そっちの手段は取らない。
・・・セックス、したいのかなあ。
この人と?)

大きな手が背中を、腰を這う。
唇と舌が耳の後ろから首筋、胸元を味わうように這う。
榛名がベルトに手をかけたので、阿部も手を伸ばして榛名のベルトを外し、
フロントボタンを外し、ジッパーを下ろす。
そのまま榛名のペニスに手を這わす、トランクスの上から包んで撫でる。
「・・・ん・・・」
榛名が小さく声を洩らし、仕返しといわんばかりに阿部の乳首を舐める。
「あ」
「・・・気持ちイ?」
榛名の暴力的で思い遣りのない、一方的なセックスに耐えるために
阿部は快感の尻尾を捕まえるのに随分と慣れた。
いきなり気持ちイイなんてそう無い、ましてや同性同士だ、
相互の性感を刺激するような遣り取りが無い以上自分で、
(この、感覚が気持ち、イイ)
と意識していくしかなかった。
こくりと頷く。
「ふ・・・お前の手な、マメだらけで凸凹硬くて、けっこ気持ちイイ、ぜ」
榛名が唾液に濡れた唇で云う、阿部はそれを淡々と眺めながら
掌による刺激を強くする。
「んわ・・・っ」
驚きと快楽の混じった榛名の声。

何のために?

何のための声だ、これは?

何の意味が?

阿部の思考を遮るように舐めて、と頭を下腹部に促される。
トランクス越しに口付けながら、ペニスを出す。
熱を持ってどくどくと何かが流れている其れをぴちゃぴちゃと音を
たてるようにして舐め、唾液がいきわたったところでぬるりと口に含む。
「タカヤ、うまくなった、ん、なあ・・・」
「そりゃどうも」
ずるりと口から出して応える、口元を拭う。
「かわいくねぇ反応」
「俺が可愛い時なんてあったすか」
阿部は脱げかけたシャツとズボンとトランクスを床に落とす、
鞄からゼリーを出した。
「んーあったような無かったような」
「どっちでもいっすよ、別に」
ゼリーのキャップを開けると榛名に蹴飛ばされた、
床に膝をついた阿部に「やってやる」と云う。

ゼリーで慣らされながら「珍しいっすね、元希さんがこゆことすんの」と
嫌味でも何でもなく淡々と云う、床の感触が背中に冷たい。
「気が向いたから。なんかお前すっかり手慣れてきちゃってるし」

(意味が解らねえ・・・)

自分を押し殺す事に慣れてどうするっていうんだ。

「手慣れるも何も、元希さんは入れたがりだし、明日も練習あるし、
俺にとっては最低限の自己防衛ですよ」

榛名の長い指が奥まで突き立てられる
「・・・んあっ!」

「生意気云いやがって、じゃあ何でお前逃げないんだよ」
挑発する笑みだ。
俺から逃げればいいだけだ、という負の感情のこもった笑い。



(この人は俺を挫くためなら男とセックスでもすんだな)

(そんな風にしか、他人を貶めて自分と同じところに立たせないと
向き合えないんだよな・・・たぶん)


「榛名さんこそ何で自分が俺になんか手ェ出したのか考えてみたこと
あるんすか」

榛名の表情が固まる。

「も、いっすよ、挿れて」


殻に閉じこもっているのはお互い様だ。
でも、

(でも俺は殴らねえぞ)


(そんな風に、あんたと向き合いたくない)


(マウンドで、向き合いたい、元希さん・・・)


それだけは強請っている。
求めている。
欲している。
焦がれて、いる。
叶わないと知っている。
報われないと解っている。







END

メガデス聴きながらおお振り。笑。

SUIさん
そうです、青森行ってました。29日から5日まで。
下北半島は恐山から五能線で日本海側まで行ってきましたよ〜。
青森は大好きな県でして、1年に1回は行きたい処。ちょっとしたマニア。
きゃあご縁を感じますわ!笑。
イタコ研究とユタ研究がしたいのです。
『青森駅』はね、いいですね。笑。単純に甘酸っぱくて聞き易いですし。
いやあ・・・海鮮天国、山菜パラダイス、日本酒に温泉、二度目の花見と
非常に満喫しつつ、肥えました・・・がくり。

ぱのらまさん
またハルアベ書いています。ふふ。しかも最近では珍しくエロ。
よしながふみを読んだりしているからでしょうかね・・・『愛がなくても
喰っていけます』は美味しいもの大好き!なぱのらまさんにも面白い
漫画なんじゃ・・・などと思いつつ。
『花伽藍』は打ちのめされすぎて、正直うかつに読み直せません。
いえ、『弱法師』も装丁から何から大好きなのですが。
銀魂人気投票も波紋を呼んだでしょうねえ・・・美食と酒と温泉旅行で
あまり見ていませんが。

「おうこく」シリーズに涙ぐんでいます。と仰ってくださったアナタ様。
有難うございます、本当は暗い話ばかりのシリーズにしようと
思っていたのですが(笑)、陸奥坂で外してしまいました。
口休めということで・・・。
高杉の「オウコク」を気に入って頂けたようで、本当に嬉しいです。
良かった、私の妄想まみれの弱く脆い部分のある高杉を受け入れて
頂けて。彼の遣る瀬無い生を、見守るにせよ救済されるにせよ、
見届けるにせよ、そろそろ再登場してほしいものです。
ありがとうございました!!






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