銀の鎧細工通信
目次|前|次
| 2005年04月05日(火) |
異血 (桂→銀)SUIさまへ寄贈。 |
出遭った時から思っていた、 気になっていた、 その髪の色。 その強い腕。 その頑丈な身体。
違和を感じた。
訊いてみても「知らねーんだよ、俺は、そういうの」の一点張りだった、 それは尚の事自分の考えを裏打ちするようで、一層の違和と、異質なる ものを感じさせた。出身地すら銀時は語らない、ただ、江戸の、 かぶき町を離れない事から、そこらが覚えのある土地なのでは あるように思えた。彼は、いつも、其処に帰る。
銀時は家族を知らない、と云う。 何度目かに顔を遭わせた陸奥にそれとなく訊いてみても、彼女は曖昧に、 かつ無表情で話題を変えた。 元々陸奥はその手の私的な事を語る人種ではない。それは解っていた。 坂本に訊いてみても、知っているのか興味が無いのか、「さあ?」と 笑うだけだった。陸奥が何処の生まれで、どの様にして坂本の元へ流れて 来たのかは誰も知らなかった。 でも、銀時と陸奥に通ずるその異質、ありえない髪の色、ありえない強さ、 それは銀時のところのチャイナ娘を見ていて確信に近くなる。 神楽のピンクがかった赤毛。
人を超えた、何か。
「銀時」
「あんだよ」 団子をほおばりながら応える、銀の髪が春風にふわふわとなびく。
「お前・・・・・・いや、なんでもない」 云いかけて、桂は口を噤む。 訊いてどうするんだ、銀時自身も、自らの出自を知らない可能性の方が 高かった。うすうす気付いてはいても、それは憶測でしかない、 そんな不確かな事に銀時が囚われないであろう事も、桂は予測できた。
「ほんとお前はネチネチしてやがんなァ、云いたいこたハッキリ云えや」 どうでも良さそうに団子を追加する銀時を見ていて、よぎる考え、
忌み子
地球人と天人の混血児、疎まれ、呪われ、捨てられたかも知れない子。 歓楽街のかぶき町だったら、天人の要人も接待に利用する、其処の 売春宿ででも孕まれた子どもであってもおかしくは無い。 そして其処に捨てられた子どもであってもおかしくは無い。
(お前、お前だって、うすうすは考えたんじゃないのか)
(だからチャイナ娘といい、誰彼構わず、人種に関わらず、 手を差し伸べるのでは、無いのか。銀時・・・)
光の無いところでは白髪のように見える銀髪は、今は光の中で 輝きを放っている。 見慣れたつもりでも、時々、どうしてコイツの髪はこのような色なのかと 不意に思ってしまう。 それは、陸奥の薄い金に灰色がかった髪と、何よりもあの獣のような、 金緑の瞳を見ると思うことでもあった。
色の問題だけではなかった。 何処か地に足のついていない姿は、単なる自由な気質のものではない、 坂本のように敢えて飛び立つ事を願ったものとは違う、何処か着地点の 無いが故の浮きたち。所在の無さそうな、身の置き所の無さそうな、 それが違和感の一つでもあった。 警戒心は強いくせに、他人を無条件に受け入れてしまう銀時の性格は、 何かその身の置き所の無い自分を肯定し、受け入れるためのものである 様な気がしてならなかった。
(お前は・・・何なんだ?)
混血児であろうと私生児であろうと今更何の問題も無い、 忌み疎まれた子であっても、銀時はしっかりと生きている。
(しかしな、時々不安になるんだ、俺は・・・)
桂は、自分の掌の中にある湯飲みを硬く握った。 銀時の危うさは、無鉄砲さは、何処か危うい。 坂本のようにただ本能的な勘でやっていることではない、 高杉のように、自棄になって死に切れないまま死に場所を探している訳 でもない、ただ、
ただ、いつ、どこに、消えてもおかしくない。
(現にお前は何も云わずに、戦が終わったときに姿を消したな)
(仲間の誰にも、何も云わずに)
不安感と、苦い思いが頭の中を満たす。 銀時の飄々とした生き方は、本当に彼が望んだものだったのか、 もしかしたら、彼はそうしか在れなかったのではないか。 考えても、時間が戻るわけではない、銀時に染み付いてしまった気質は 今更変わるものでもないだろう。
どこかで、人を突き放す。 帰れる場所のある者だけ、居場所のある者だけ。 そういう者だけを銀時は時折、わざと突き放す、彼がその事に 傷付かない訳ではないのにもかかわらず。 彼の周りの者だって、傷付かない訳は無いにもかかわらず。
桂は、ふ、と息をこぼして顔を上げた。 考えても仕方の無い事だろう、どうにもならないことなど 幾らである。
だから、その中で、自分は、銀時にその存在を知らしめてやるんだ。 (お前は、お前には居場所があるんだ、銀時。 自分から捨てるな、もう、誰も、自分も捨てるな)
「あ」 銀時の声に桂が振り向く。
手を伸ばして、桂の髪に触れる、 「ほれ」 指先には、桜色の柔らかな花びら。
桂の湯飲みに、それをはらりと落として、 「桜茶になったぜ」 と云って、笑った。
桂が困惑したような、さびしい色を浮べて小さく微笑む。
(銀時、お前が異質な、異種なる血を持つ者であっても、)
(俺は、お前に流れる血が赤い事を、哀しいほどに知っている)
END
いち、でもいけつ、でも好きに読んでください。タイトルは。 捧げるSUIさんにお任せします。
お花見銀桂。てか、ヅラの物思い。
SUIさんはアレンを忌み子として描いてらっしゃるのですが、 もし銀さんが天人とのハーフとかだったら、彼も忌み子ではないかと おもいました。だって、銀髪って。
まあ、さっちゃんも、髪の色はあやめ色ですが。
てなわけで、リンクページを持たない私は再度ここで 告知をば。 SUIさんのサイトはこちらです。 http://sui.gonna.jp/allelujah/
BGM:Cocco
|