銀の鎧細工通信
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2005年01月26日(水) デリカシー (山土)

とかくこの世はデリカシーが無いんだ。

センシティブたれ何てつもりは更々無いが、
ナイーブなあの人、の胃に穴が開くのだけは
真っ平御免な毎日。
こーいうの、ロマンティストなんじゃない、
エゴイストつうんだ。はいはい、解ってるから
睨まないで下さいよ隊長。
ちなみにアンタと真っ向から張り合うのも真っ平御免。
エゴイストっぷりにかけては負ける気もしないけど、
自分が可愛いんでね。でもってあの人、も可愛いんです。



山崎は正座でくどくどと説教をされている。
きっかけはやはりミントンなのだが、ミントンに始まり
武士道を説かれる始末。
「大体なぁ、お前何でミントンなんだよ。地味に見せかけて
ものすっげえ身体使うのは解るがな、それでも侍か?
それとも監察の仕事に役立つのか?アレが」
痺れた足先をもぞ、と動かしながら山崎はにやけそうになるのを
堪えるのに必死である。
(あ〜何でこの人はこんなに真面目なんだろうなあ、
近藤局長が幾ら大事だからって、これ元々の性格なんだろうなあ)
「オイ!聞いてんのか山崎ィ!」
「あっ、はい!聞いてます聞いてます!」
「・・・で、だから役立つのか?」
「は?」
「ミントン」
「・・・・・・・」
土方は真顔だった。
(どうしよう笑いたい!)

「・・・やってみます?」
恐る恐る訊いてみる。
「・・・・・・・・・いや、いい」
(今の間・・・!副長マジで考えてたよ!)
山崎の腹筋はよじれて攣る寸前だった。
ただでさえ好きな相手を前にすれば落ち着かなくなるというのに、
土方はそれに追い討ちをかけるようにして動揺をさせる。
天然なんだから全くもって罪作りである。

こうして楽しいひと時を過ごしていても、
無機質な視線を感じる。
鮫が獲物を求めながら回遊している目だ。
「爺さんじゃないんだから小言はそんぐれェにしてくだせえよ。
・・・山崎、給仕のおばちゃん呼んでたぜィ」
土方が舌打ちをして片手を山崎に「下がっていい」と払い、
もう一方で煙草に火をつける。

「じゃ、失礼します」
沖田の視線は動かない。山崎も悟られない様にそれを窺う。

こんな処で張り合わない。
悪態の付き合いで土方の気を惹くのは容易い、現に万事屋の
あの男はそれだけであっさり土方と関係を持った。
喧嘩腰なのはスリルが有るから、本心を紛らわせるには
打って付けだろう。
でもそれで、いつまで保つ?
虚しくなって、疲れるに違いない。
誰とも違うスタンスで、土方の防御壁の中に入り込んでやる。
単純に身体を繋げるよりも、長く楽しめる方が好い。
それなりに付き合いは長いにも関わらず、
未だ土方は山崎の性格を把握し切れていない。
誰にも気付かれない様にしている有能さを、嗅ぎ付けているのは
沖田位のものだ。

(からかうのも楽しいんだけど、うろたえさせる方が
俺は好みなんだよな)
脆くて弱い硝子の壁、彼にも血を流させずに内側から侵食する。
口の奥で甘い笑が込み上げる。

「山崎」


振り返ると土方が立っている。
黒くて細長いシルエット。
「何です?」

「今日の晩飯、何だ?」
「生姜焼きと、わかめの味噌汁と、小松菜と揚げの煮びたしにジャコを
かけるつもりです」
すらすらと献立を云いながら山崎は土方の方へ足を進めた。

「はい」と云いながら、土方より幾分小さな背の、肩に
棒立ちの土方の腕をかけてやる。
「足、痺れてるんじゃないですか?」
近い顔を見上げて云う。
こういう時に、断定的な物云いではなく、質問の形にして
土方に逃げる余地を作ってやる。

「何で解った」
不貞腐れつつも、照れが混じった表情で土方が問う。
ちろりと上目遣いで目を合わし、
「ひとつ、不自然な棒立ち。ふたつ、出された物を食うだけで
大して興味も無い献立を訊いてくる。みっつ、沖田隊長が居たから
痺れてるのを悟られたくなかった、どうです?」
にっと笑む。
気まずそうにした後に、土方がフイと顔を逸らし、
「監察の面目躍如だ。よく観てやがる」
とぶっきらぼうに云い放って、笑った。

「恐縮です。んで、副長の部屋まで引っ張って行きますか?」
土方に云わせない、というのも山崎の心がけの一つだった。
云わせようとすればする程意固地になるのは目に見えている、
だったら先に云ってやればいい。
(皆、反応を面白がるだけで、この人の素直な処にまで
気が向いてない。無粋な話だぜ)



とかくこの世はデリカシーが無いんだ。

気遣い万歳何てつもりは更々無いが、
正面だけから単純に攻めて、からかうだけなんて
真っ平御免な毎日。
こーいうの、ロマンティストなんかじゃとてもない、
マニアックつうんだ。
はいはい、解ってますよ。
優しいだけで終わるつもりも更々無い。


エゴイストが鼻につけば終わる。
へっぴり腰だけど、懐柔するならお手の物。
正面突破なんざ芸が無い、策に嵌めて落としてナンボの職業病。


「あー、副長、生姜焼きにマヨネーズかけますよねえ。
ちゃんと買い足しておきましたからー」
淡々と云ってやる。
可愛いあの人の愛想の無い笑顔が好きで、デリカシーとエゴで
それがもっと見たいんだ。
そんな毎日。





END


曲者マニアック山崎です!ある意味(というか私にとっては)エロより
やらしいです!ぜーはー。

27日16時で山土がお好きと教えてくださった方、
私はアナタ様の山崎への洞察に胸打たれました。
もっとへたれ山崎で、ここぞ!っていうのが書けたらいいんですが、
ごめんなさい、どうしても曲者に・・・。力不足です。
楽しんでもらえたら幸いです。駄目出しも全然有りですから!
「ヌルいわ!」とか!

27日18時土方さん至上主義の総受け派の方、
銀さんがかっこよいと云って下さった方と同じ方でしょうか?
違ったらごめんなさい!!
かっこよかったですか?すっごい嬉しいです。ありがとうございます。
「霧」は私としても相関図そのままの一作なので気に入って
もらえたら本当にそれはそれは嬉しいことでして。
これからも頑張って土方受けを深めてゆきたいです!

本文「エゴイストが鼻につけば終わる」は
イエモンの「Suck Of Life」より拝借しました。
BGMもイエモンです。


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