銀の鎧細工通信
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| 2005年01月24日(月) |
うせもの (陸奥高杉) |
気が付いたのはホテルについて、シャワーを浴びる時だった。
「・・・」 「どうした?まさか今更怖気づいたのかよ」
1,2歳年下であろう青年にでかい口を叩かれたところで 腹も立ちはしない。 裸で大きなベッドに悠々と腰をかけて足を組んでいる、 隻眼の青年。
(ふむ、見てくれは悪くない。生意気そうな鼻っ柱を 圧し折るのが楽しそうがじゃ) 坂本を通して何度か顔は合わせている、その際に 陸奥はそう思ったことがあった。
見下して「ふん」と鼻で笑ってやる。 高杉がカチンと挑発に乗るのを、いなして 「ちょっと物を落としゆうのに気が付いただけじゃ」 と云うとくるくると髪を束ねてすたすたと浴室に向った。
よく磨かれた一面の鏡を見て、陸奥は 次のマスカラは何処のメーカーにしようか、と考えた。 自分の色素に黒いマスカラは悪眼立ちして下品になる、 かと云って良い発色のブラウンにも巡り合えない。 (目ん玉に合わせて緑のでも買うてみゆうがかの)
高杉との情事はついでもいい所だ。 地球に戻っていることを聞きつけて船にやっては来たものの、 坂本は着くなりおりょうの元へと走り去っていた。 肩透かしを喰らって不貞腐れる高杉が、 事務仕事をしている陸奥を呑みに誘った。
「相手にしてやらんこともないがぜよ」
デスクライトにほの白く照らされた陸奥は無表情で答えた。 その程度のことだった。 時間を潰して、明朝の帰り道にはコスメショップを物色しよう、 保湿物も見繕おう、何せ季節の変わり目はコンディションが落ちる。 その開店までの時間つぶし。 詰まらなければ何時でも置いて帰るつもりだった。
自分は何故かいつも始めてする男とのその際に、 何か落し物をする。 坂本の時はホテルを出てから指輪がひとつ無くなっていた。 ピアスを失くしたのは誰だったか。 今夜はかんざしだった。 (買うたばかりじゃったに、惜しい事しちゅう・・・) 浮ついているつもりは全く無いが、やはり何処か 気がそぞろになるのだろう。 桂とか云う堅物にでも出くわして妙な勘違いをされても困るし、 船員は云うまでもなかった。 地球でハウスキーパーとして(云い換えれば主夫だが) 陸奥の家に居候している男には先ず逢うことも無いが、 それでも耳に入れば、文句の一つも云いはしないものの それが故に鬱陶しい思いをする羽目になる。 (面倒臭くなってきたがぜよ・・・) シャワーを浴びながら陸奥はうんざりしてき始めていた。 失くすものがある人間は面倒だ。
バスタオルを巻いて浴室を出ると、高杉は同じ位置で 煙管を吹かしている。 その位置の変わらなさに陸奥は可愛さを覚え、 (まあ、良いきにゃ) と思い直し高杉の膝をまたいで座った。 陸奥の金灰の塗れた毛先が高杉の鎖骨に雫を落とす。
(益体も無い事ばしてみちゅう、噛み殺してやるがぜよ)
そう思いながら陸奥は高杉の半開きの口に接吻し、 舌先を入れた。 陸奥の尖った肩甲骨に骨張った手が回される。
頭の中は春物の化粧品と、失くしたかんざしに代る 何かアクセサリーのことだ。
END
まあた私と一部の友人しか楽しくないSSですが・・・ごめんなさい。 てゆか自分男女カプをこんなに書く人間では無かったんですがねえ。
春間近、陸奥のお買い物プランとつまみ喰い話。 高杉はひょいぱくーって食べられちゃえば良いよ。 ちなみにこれは銀土の裏話的、もっとラブレス(むしろラブマイナス)な 情事話でもあるのです。 え?んなことはどうでもいい? ホモカプ書けばいいですかね、いやはや・・・。
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