銀の鎧細工通信
目次


2005年01月22日(土) どこでも触れていて (銀土)

人肌のぬくもり、の
心地よさに止まる心、の
その弱さ。
その弱さよ。



「多串くん、体あったかいね」
ホテルのベッドの中で繰り返し銀時は云った。
「あったかくて、気持ち好い」
睦言というよりも無意識に、実感として繰り返す。

薄暗く暖かい部屋で、裸でずっと絡まり続ける。
ひたりとくっついて小さなキスを繰り返しては、
不意に始まる煽情の行為。
決してどちらもどちらの腕の中には納まらない。
抱えて、抱いて、抱きしめて、乗っかって、
乗っかられて、組み敷かれて、伸し掛かって、
体を離せない。
シャワーのために服を脱ぎながらも、
手が伸びては触れ続ける。
湯を張って浸かっても吸い寄せられてはただ触る。
体が離せない。
水の飛沫に目を細めた土方を、銀時は引っ張り上げて
「もうしたい」
と云う。

鼻先にキス、目蓋へキス、頬にキス、首に記す。
銀時の意外にも細い腰に土方の足は難なく絡まる。
もう人肌に吸い寄せられることへの苛立ち、
そんな自分への苛立ちも忘れて土方も銀時に触れる。
舐めては吸い、軽く噛み、手のひら全体でその肩を
背中を味わう。
少しでも多く触れる。少しでも少しでも。限られているから。
口付ければそれが止まらない。
「ふふ、楽しい」
銀時が甘い声で呟く。
少しだけ笑って土方はそれに無言の肯定を返す。
そうして銀の柔らかい髪を撫でて、瞑った目に
また小さくキスをする。


ホテルの利用時間が終われば、何事も無かった様に振舞うのだ。
それの何も苦などでは無い。
愛なんてお笑い種だ、この突発的な衝動に愛なんて
理由は全く要らない。
ただ体を合わせる事に快か不快か、それだけ。
ずるずる続くか、これで終わるか、それも解らない、
何も構わない。そんなことはどうでもいい。
情事の他愛なさなんて其の程度のものだ。
甘いだけのひと時。
柔らかいだけのひと時。
暖かいだけのひと時。
贅沢で他愛ない、飽いた心の穴埋め。それだけ。

それだけだから心地よい。
それだから心地よい。
限定的な気持ちの良さ。


そこに、心は止まる。
打算、計算、未練、リスクマネジメント、
ずっとし続けて警戒している感情の外で
ぬるま湯に浸りきる。
使い分けるのなんて当然だ。
たかがセックスで何も失いたくなどは無い。



未練は残さず、その場だけの甘い蜜。
「それじゃ、お疲れ様」
「おう」
ホテルから出ての分かれ道、
振り返りもしない。
迷いもしない。



残るのは、ただ相手の残り香と
腰の甘い鈍痛。倦怠感。
ぬるい眠気と、人間という生き物の弱さ。







その時だけ、どこでも触れていて。








END


22日19時に、あっつい拍手で「銀土がとても好きです!」と
云ってくださった方の為に銀土を続けてみました。
ありがとうございます、ご期待にそえられる銀土かは解りませんが、
これからも精進します。

はくすメッセージは本当に嬉しいです。
こうしてレスはお返しするのでじゃんじゃん!もうじゃんじゃん
云いたい事云っちゃって下さいね。

タイトルは笹川美和の「ごとく」から。
いろんな意味でアダルトにしてみた。なってるかな?


銀鉄火 |MAILHomePage