銀の鎧細工通信
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| 2004年12月26日(日) |
せすじ (山土・・・?) |
最近の歌舞伎町は騒がしい。 今まで何故あの悪眼立ちする銀髪が問題を起こさなかったのか 不思議でしょうがない。 何かあれば絶対にあいつが絡んでいる。 近藤さんの片想いもあいつんとこの眼鏡絡み。 そよ姫の脱走もあいつんとこのチャイナ娘絡み。 桂が江戸に戻って好き放題なのもあいつ絡み。 近藤さんがガマを庇って打たれたのもあいつ絡み。 総悟が幕府の裏事情、面倒事に首突っ込んだのもあいつ絡み。 高杉が祭りで騒ぎを起こしたのもあいつ絡み。 近藤さんは行方不明、どうせまたあいつ絡みに違いない。 何が万事屋だ、てめェで問題起こしてその尻拭いばっかりじゃねェか。
「疫病神め・・・」 忌々しく呟いて煙草をもみ消す。
「あー副長、ポイ捨ては止めて下さいって いっつもいっつも云ってるじゃないですか」
背後から声がかかる、振り向くと山崎が間抜け面で立っている。 「なんだ、山崎か」 「なんだじゃないですよ、水道局からこの間苦情来ましたよ。 『おたくんとこの、あの瞳孔開いた副長サン、歩き煙草はするわ それをポイ捨てするわ、溝に詰まるとこっちが困るんですよォ』って」 嫌味ったらしい口真似付きで「よいせ」と土方の足元の吸殻を 拾って携帯灰皿に捨てる。 山崎は煙草を吸わないにもかかわらず、携帯灰皿を持ち歩いている。
「溝の詰まりを掃除するのって大変だし、金かかるらしいっすよ」 監察の癖なのか、単に性格か、苦情や要望をマメに受け付けるのは いつも山崎だ。 街のことを幕府のことを少しでも把握しようとする。 他にも何故か屯所の掃除洗濯もマメにやる。 惰眠をむさぼる非番の総悟の布団をひっぺがして干して、 キレた総悟の抜刀沙汰ですら何度かある。 炊き出しや掃除には人も雇っているにも関わらず、 わざわざ自分の時間と身体を使ってちまちまちまちまよく働くのだ。
「・・・変な奴」 土方は携帯灰皿をポケットにしまう山崎を見ながらぽつりと漏らした。 「へ?」 「何でもねェよ」 「副長に云われたくないなあ」 「聞こえてるんじゃねーか!この野郎!」 「それより副長、晩御飯何がいいですかねえ」 抜け抜けと聞こえていない振りをして話を逸らす。 小心なんだか向う見ずなのか、切れ者なのか阿呆なのか、 よく解らない奴だ。 「晩飯だあ?んなもん食えりゃ何でもいいだろ」 「副長は良くてもですねえ、隊士の健康管理、これ大事でしょう」 「は〜あ・・・密偵から医術から、掃除洗濯、家事育児、 全く有能な部下を持って俺は幸せだよ」 「育児はしてません」 真面目な顔で答える。本当に掴み所がない。 土方は目を斜め上に上げて口をへの字にした。 「最近冷えるからな、何かあったかいモン・・・」 「ああ、いいですね。じゃあ生姜たっぷりの豚汁でも作ろう」 「期待してるぜ・・・」 と云って踵を返そうとした土方の腕をがっちり掴んで にっこりと笑った山崎は 「幸せ者の副長殿には、是非買出しに来て頂きたく」 と有無を言わさぬびしりとした口調で云い放った。
土方はこめかみをひく付かせながら 「しっかり者の奥様連中も吃驚だぜ」と ワナワナする拳を押さえて応じた。
大食いの男所帯、確かに一人で買出しのできる量ではない。 二人で両手に野菜や肉をビニールでぶらさげて屯所に帰る。 「副長」 「あんだよ」 「副長ね、一人でいると凄く猫背になってるんですよ」 「あ?」 山崎は土方のほうを見ない、道の先を真っすぐに見つめている。
「背中まるめて、早足でつんのめるみたいに歩いてるんです」
山崎が何を云いたいのか解らずに、土方は煙草を口だけで咥えて 吸いながら山崎を見た。 両手は塞がっている、ビニール袋が音を立てる。
「俺はそれを見るの嫌で、つい声をかけちまう。 局長や隊士の前ではいつも背筋伸ばして、 真っすぐ前だけ睨むみたいにしてるから、 見てられないんです」
「そりゃあ、見っとも無い姿晒すなってェことか?」 「違いますよ」 山崎はきっぱりと即答して、ようやく土方の方を向いた。 「どっちも副長ですからね、見っとも無いなんて思いません。 ただ無性にさびしくなるんですよ、俺が。そんだけっす」 口角だけ上げて笑った。 土方はぽかんとした。
「お、今日は満月だ」 空を見上げた山崎につられて土方も上を見た。 そういえば、山崎は俺といる時によく天気の話をする、 夕焼けを見てはそれを知らせ、曇りの時は雨が降りそうだと云う。 その度に俺は、背筋を伸ばして空を見上げている。
土方は苦笑いをして、両手を空に突き出して思いっきりのびをした。 「あっ!そっち豆腐入ってんすから、あんま振らないでくださいよ!」 「うるせェ、豆腐くらいでガタガタ云うな」 のびをしたまま、苦笑いのまま、山崎の方を見た。 その苦笑いを見て、山崎は眉を下げて 「しょうがないなあ、副長は」 とくしゃっと笑って云った。
俺は今うまく笑えただろうか。 気付かないことが沢山ある。 近藤さんにも総悟にも、挙句の果てにはあの銀髪野郎にすら 「しょうがないなあ」と云われる。
「全くトシは苦労性の癖に無茶ばっかりするからなあ、 しょうがない奴だなあ」 「土方さんは余計なことまでグダグダ考え過ぎなんでさ、 本当にしょうのないお人ですぜ」 「いつ会っても疲れそうな生き方してるよねえ、 多串くんはしょうがない奴だな、困ったことあったら何でも 万事屋銀ちゃんに云ってみな」
「うるせーよ」 「オラ山崎、とっとと帰るぞ」 「はいはい」 「返事は一回でいい!」 「はい、副長」 山崎が不敵な笑みを浮かべるので、土方は気恥ずかしくてぷいと 顔を背けた。
この背中にしょっているもの、 大事なものだからこそ、それに押し潰される訳にはいかない。 担いでいくんだ。 満更じゃない。
END
わー!どうしよう!どうして私の書く土方はこうなの?! というか私、クールな人とか書けるの!? 土方が素直すぎて恥ずかしい・・・。 これじゃただの気のいい兄ちゃんだよ!
今までもぽつぽつ出しては楽しんでいた山崎ですが、 本誌でもどばんと活躍してるし、ここらで山土といってみるか!と 意気込んでみました。 私の書く山崎は色々こなせて何だかいい男だなあ・・・。 よく人を見ているし、気遣いも上手、器用で世渡り上手な山崎には 土方みたいなのは不器用で不器用で、放っておけない存在。 年下の男の子にも翻弄され易い単細胞で苦労性な土方。 まあ、そういうイメージです。へたれ山崎も大好きだけど、どーにも 切れ者の曲者で不敵な人に思えてならないわ。
山崎好きな方、如何なもんでしょうか。 よし、次は桂だ!桂を書いてやる・・・・・・・・・・・!!
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