銀の鎧細工通信
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| 2004年10月22日(金) |
後悔なんてできやしない(近高) |
いびつな象形。紫の花。闇夜に羽ばたく鳥の影。 打ち落とす。風の音。また朝焼けが忍び寄る。 膝を抱えてじっと立ち向かう。
宿はしばしば変えた。橋の下で眠る夜もある。 野良犬暮らしだと、夢も信念も最早失くした狂犬だと、 アイツは云った。いやアイツじゃなかったか、云った奴は 斬って捨てた。文字通り橋の上から川に投げ捨てた、死骸を。 アイツもそこまで不粋なこたァ云いやしない。 会えば批難の口は開かれる。そのお綺麗な面、長い髪、 目障りで懐かしい。
溶けて消えることのないこの手の血。 今更どうとか思うって云うのか? そんな目で見るな。 折り合いをつけて、今もう新しい連れどもと生きてるお前に そんな顔される覚えねえよ。
会うこともろくに無い。今は宇宙のどこにいるのやら。 俺の背が低いからっていつも「酒ばほどほどにしちゅうて 飯食って大きくなれ」だの 好き放題云ってた邪魔くさいかさばる奴。 もう本当は思い出せない、奴が最後に、旅に出る時、俺に何て云って どんな目で見たのかを。ただ、俺は相変わらず酒ばっかり呑んでいる。
どいつもこいつも澄ました処で同じ穴のムジナだろ。 生き残っているんだろ。死に遅れているんだろ。 「鬼兵隊のことを忘れろとは云わない、でも今を生きろ。 時代は変わっているんだ」 云った奴も斬って捨てた。そいつは路地裏のゴミ捨て場に。 忘れるとか今を生きるとかくだらねえ、何の役にもたちゃしねェ。
だから何だってんだ? 本当のところはよ。
ああ今日も眠れない。
それとも自分は眠りっぱなしなのか?
起こしてくれるのか?
起こしてくれるのか? 悪い夢からこの白昼夢から起こしてくれるのか? あの男は俺を殺す役目の人間だろ。 追いかけて殺すんだろ?本来は。 なのに殺さない。起こさない。
「近藤」
「近藤」
「・・・んあ?」
「日の出だ。起こせっつたのお前だろ」
「んご・・・・」
「おい、寝んじゃねェよクソ髭野郎」
「ん〜お妙さァ〜ん・・・」
お前が眠るなよ。のんきな面しやがって。 たまにどうして見つけ出すのか俺の所に酒持って押しかけて、 くだらねェ浮世の話なんざしちゃァ眠る。 のうのうと眠るな。俺を起こせ。さもなくば眠らせろ。
「ぐごっ!!!!!!」
「いてェ!!!痛ェよ!!!何だ一体!?何事だ!?」
「・・・おー高杉、何も本気で蹴るこたねェだろ・・・」
「さっさと出てけよ。俺の命を狙いもしねえ奴となんざ 居たくもねェ」
「命のやり取りだけなんざ俺は真っ平だ、っと上着何処に掛けたっけな、 大体お前酒だけはいつも黙って呑むじゃねえか」
「そう睨むな。仕事の話し抜きで呑みたい時もあるんだよ。 隊の奴らとじゃどうしたって仕事の話になっちまわァ」
「その仕事で俺に刀向けもしねェ奴がよく云うな。辞めちまえ」
イラ付きは最高潮。目に染みる朝日が殺意を招く。 まぶたを透かした血の色が真っ赤で真っ赤で。 「高杉ィ、お前また寝られなかったんだろ、目ェ真っ赤だぜ」
「どれ、布団をしいてから帰ってやろう。付き合ってくれた礼だ」
「余計なことすんな。人の部屋勝手にさわんな。消えろ」
「人の部屋っつたってこりゃァこの宿の主人の部屋だろう」
「つまらねェ屁理屈なんざどうでも良いんだよ」
「ほれ、そっちで寝ろ」
「押すな!俺に触るな」
刀はいつの間にか遠くにある、この手元から。 こいつと居るといつもそうだ、気が付くと刀が手を離れている、 普段より少し。
「眠りたいんだろ?無理するな」
布団に埋もらされる。写る朝の日差し。濁りきったもの。黒い服。 隙間を風が吹き抜ける。重く重く重い。沈む。暗きに転ずる。暖かい。 抱えていた膝が柔らかい布にくるまれる。
「おやすみ高杉」
襖をそっとそっと閉めて遠ざかって行く近藤の足音。 とんとん、とん。とんとん、とん・・・・・。
一体何だってんだ? また一日過ごしてしまった。また一日が来てしまった。 悪夢に白昼夢。近藤の笑い声足音。 後悔なんてできやしない。 何もかもがくだらない。馬鹿馬鹿しい。鬱陶しい。 起きたら俺は起きているんだ。変わらない何も。 だったらやっぱり後悔なんてできやしない。
END
・・・書いていて思ったんですけど沖田→土方(何か気になる)→銀さん と土方→近藤(何かほおっておけない)→高杉って似ている。
いやむしろ私の土方と高杉は絵でも文でも書き分けが出来てない!! 大ショックです、誰かいいアドバイスください。 だってふたりとも強がり乙女じゃん!! このSS、高杉と土方代えて近藤さんと銀さん代えても問題ないです。 もう困ったなァ・・・。高杉もう少し出てこないと人柄分からないよ。 妄想ばかりがエベレストを超えるよ。
Y子ぴょん→陸奥話の感想がっつりメルするから待っててね!泣き。 Kるぴょん→人間ドッグでも行け!胃カメラのめ!胃腸科行け!泣き。
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