人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2004年06月18日(金) こんなときにあなたをひとりにしていいものなのか、考える

真夜中は別の顔。

こんなときに、恋人をひとりにしていいものなのか、朝方浅い眠りの中で考えた。それというのも、今夜は同僚たちと横浜中華街で夕食、明日は友人と銀座で海外旅行作戦会議という予定。だから、恋人はひとりで家にいることになる。お留守番なのだ。

仕事を辞めて、私と一緒になるためだけに関東に来てくれた恋人。だけど、年齢が年齢なので、再就職先はなかなか見つからず、決して贅沢を言っているわけではないがかれこれ4ヶ月以上無職期間ができてしまっている。ハローワークに直に足を運んでみたり、ネット検索したりしているが、なかなか、恋人の今までの経験からできる仕事はないようだ。3月くらいは焦りが目に付きイライラしていたが、この頃はなんだかため息をついたり弱気になったりしていた。そりゃそうだろう。働き盛りの男が仕事がないためにぶらぶらしているのだ。貯金の残高が減るたび、「保険だ何やかんやとお金ってすぐなくなるなあ」とつぶやいている。精神的にきてもおかしくはない。

3時ちょっとすぎ。何で、目が覚めてしまったのか分からない。テレビの音がしていようと都電が走り出そうと、私はよく寝る人間だ。だけど、昨晩は違った。眠る前に緩下剤を飲んでいたのでお腹の様子がおかしかったのも事実だが、気がついてしまったのだ。嗚咽に。

暗い中、恋人が隣の布団で泣いていた。私に背中を向けていたけれど、肩が時折大きく揺れていた。時々何かをつぶやいていたが、それらは私には聞き取れず、嗚咽の中にまぎれていた。
思わず、手を伸ばしていた。でも、これが失敗だった。
私が起きてしまったことに気づいた恋人は、泣くのを辞めようと必死になってしまった。だけど止まらなくて、私に背を向けたまま、鼻水をすすりこすり、涙を何度も拭いていた。何だかかわいそうになって頭をなで、腕をさすった。少しして、こちらを向いた恋人は、「はよ、寝」と言い、私に抱きついてきた。
怖い夢でも見たのか、悪い想像でもしたのか、漠然とした不安に精神がさらされたのか、それは何も聞かなかった。何も言わずに、黙って抱きしめ返し、身体をなでた。今までも、こんな風に泣いていたことがあったのだろうか? 私はいつも隣で眠りながら、全然知らない。

タイミングの悪い目覚めに、少し私も、傷ついた。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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