人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2003年10月29日(水) 喪服の女性が伏し目がちに考えていたこと

この度、生まれてはじめての喪服を買った。

父方母方共に早死に家系なのか、主要な人々は私が制服のあるうちにこの世を去った。高校3年まで、死にづくし。

だけど、就職して、喪服の必要性を確認。通夜に顔出すくらいならどうにかこうにか上下黒で統一して出かけられるのだが、職場関係で葬祭の受付やら案内係やらで借り出されることがあり、一着買わんとまずい、と気づいたのだ。

生命の灯火が消える時間は誰にも予測できない。ある程度、そろそろ山ですと限界が見えていればこちらも心づもりというものができるが、突然だとどうしようもない。
今のところ、実家の母に「同僚の曾祖母が危なさそうなので喪服送ってください」とサイズがほぼ変わらぬことをいいことに連絡して事無きを得ていたが、これからは分からない。
インフルエンザも流行りだすし、うかうかしていられない。

だから、買ってみた。ワンピースの喪服。袖はレースの5分袖、裾は軽くかわいくフレア、ボレロ付。ぎりぎり3シーズン用。胸元の小さなふくらみも小ささが目立たないほど、全体にとてもスリムに見える素敵なデザイン。しかも、胸がないせいなのか、7号サイズ…普段、9号なのに、ぴったりだった。
「これはデザインのせいでやせて見えるのでしょうか?」
と試着し喪服姿で一緒に買いに行った母に問うたら、
「喪服というものはね、よっぽどの人じゃない限り、やせてきれいに見えるものが多いのよ」
という答えが返ってきた。

確かに、喪服姿の知り合いを思い出してみると、どことなくほっそりときれいに見える体躯に色香を感じたような気がする。普段、人が着ないものを着ているからドキリとするのか、悲しみが艶っぽさを引き立てるのか。

私もいつか、誰かを惑わせてみようか。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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