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2008年12月17日(水) 盛り上がらないクラブワールドカップ

トヨタプレゼンツ・FIFAクラブワールドカップ(以下「CWC」という。)が開催されている。賞金総額は200万ドル(20億円)近いといわれており、経営悪化のトヨタ、派遣労働者等を切り捨てている企業にしてみれば、相当な負担であり、しかも無駄遣いに等しい。20億円あれば、派遣労働者を切らずにすむだろう。

G大阪がマンチェスターUと公式試合をするというのが「売り」だけれど、だれがみたって実力差は歴然としている。サッカーに「絶対」ということはあり得ないから、マンチェスターUが赤っ恥をかくこともないとはいえない。100回試合をして1回負ける試合を見るのも悪くないけれど、筆者の趣味ではない。

この大会の仕組みが気に入らない。南米、北米、アジア、アフリカ、欧州、オセアニアの王者に出場権が与えられ、加えて、開催地枠で日本のJリーグ王者が出場できるのだが、オセアニアの王者というのはアマチームで、欧州・南米のクラブのレベルとはほど遠い。大陸王者の1つがアマチームなのだから、大会のレベルを云々しても始まらない。

開催時期にも問題がある。欧州王者はどこの国の王者であってもリーグ戦真っ最中のため、強行日程で日本にやってくる。筆者は、コンディションの悪いチームの試合を見る趣味がない。

日本のクラブ王者がACLで決勝まで進むと、ACLで2回戦った相手が、この大会に出場することになる。昨年は、浦和とACL決勝を争ったセパハンFC(イラン)がACL準優勝の資格でCWCの出場権を得て浦和と試合をしたし、今年もACL決勝でG大阪に負けたアデレード(オーストラリア)がCWCでG大阪と試合をした。

2008年ACLで決勝まで進んだアデレードは、決勝の相手が日本のG大阪であることを確認の上、ACL決勝で手を抜いたといわれている。勝っても負けても、CWCに出場できるのだから、ACLはどうでもいいというわけだ。むしろ、手の内を明かさないという意味で、戦力を温存したうえ、全力プレーもしなかった(ACL決勝戦のアデレードの成績はG大阪にトータル0−5の大敗を屈した)。アデレードがACL決勝戦を捨てた理由は、賞金額の差のためだろう。ACLの優勝賞金よりもCWCの出場賞金のほうが高額でしかも、G大阪に勝てばマンチェスターUと試合ができる。プロのクラブならば、アジア王者よりも、CWCを重要視するの当然のことであって、アデレードは責められない。

日本で開催されるCWCは今大会が最後だという。新しい開催地とともに、大会のレギュレーションの見直しもあるのだろうが、あまり興味がない。筆者は、南米と欧州の王者がそれぞれの本拠地で試合をして、世界一を決める昔の「トヨタカップ」の姿に戻ったほうがいいと思っている。アジア、アフリカ、北中米はどうなるのか、というのならば、それぞれがレベルを上げるしかないだろう。

各地域(大陸)のレベルが均等になったところで、そのとき、クラブワールドカップの意味が出てくる。そのとき、大陸間の王者が一堂に集まり、いまのようなトーナメント戦を行えばいい。21世紀中には可能だろう。


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tram