| 2008年11月13日(木) |
意味のない親善試合―日本対シリア― |
こういう形の親善試合(練習試合)に意味があるのだろうか――と、いつもどおりの疑問を抱きつつ、日本とシリアの試合を見ていた。3−1で日本の快勝、19日のW杯アジア最終予選・カタール戦に向けていい準備ができた、なんて思っているサポーターはおそらく日本中探しても一人もいないはずなのだが、中継するテレビ局のアナウンサーが日本の勝利を絶賛する。
こんな親善試合は、強化に値しない。昨日、G大阪はアデレードでACLファイナルを戦っていた。海外組は参加できない。つまり、代表の主力となる選手は参加したくても参加できない。
日本でこの試合を戦った選手がドーハに旅立つのは、2日後の15日。全力を出し、疲労したままドーハに旅立てば、体調を崩しやすい。代表選手にケガはなかったようだが、シリアに元気がなかったことが幸いだった。
何一つとして、メリットがない。ではなぜ、親善試合を組むのか。理由は簡単、日本代表のスポンサー・キリン及びテレビ局のため。日本サッカー協会の収入源として、大企業のスポンサーが必要なことを否定しない。これまでキリンが代表を支えてきた面も否定しない。だが、その結果として、日本代表の強化に結びついたかを考えなければいけない時期に来ている。しかも、結論は出ている。こういう「強化試合」を組んでも、代表はいささかも強くならない。
本当に強化したいのならば、しかるべき時期に、アウエーの試合を数多く組むべきである。ホームに、時差ぼけの「代表」を呼んで練習試合をしてもしょうがない。親善試合・1試合のため、海外からやってきた「代表選手」がモチベーションをもてるはずがない。しかも、対戦相手のシリアは、W杯予選で既に敗退したチーム。シリアの代表選手は、どういう思いで、この試合に臨んだのだろうか。
本気でこない相手と親善試合をこなしても、代表強化につながらない。にもかかわらず、日本が快勝と、“大本営発表”を続け、日本が世界水準であるかのような錯覚をし、バブル化した世界ランキングで自己満足しているのが、日本サッカー業界の現状だ。協会は資金調達できればいい、テレビは視聴率が稼げればいい、サポーターは勝てばいい、新聞は売れればいい・・・と、関係者全員が刹那的、目先の利益を追い続けているうちに、代表の実力はもちろんのこと、日本のサッカーレベルが低下していく。
キリンが知性をもつ企業であるならば、こういう形で代表スポンサーであり続ける現状を反省すべきである。このままスポンサーであり続ければ、「キリン」という冠がそっぽを向かれるばかりではない。真にサッカーを愛する人々から批判を受けことになる。
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