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2008年10月10日(金) 決定力不足

サッカーW杯予選に向けた日本とUAEのテストマッチは、1−1の引分に終わった。この試合にいろいろな解釈が成り立つのかもしれないが、だれもが共通に苛立ったことといえば、日本代表選手の決定力不足だろう。

その主因は何か――これにも諸説あって、文化人類学者でもないのに、「民族的特性」に還元する者まででてきた。しばしば日本では、日本人は草食動物に、欧米人は肉食動物に喩えられる。欧米人は動物をしとめることに慣れているから、サッカーでもシュートが入るのだというわけだ。なんだかわかったような説だが、欧州、南北アメリカ、アフリカ、アジア・・・すべての地域において、農業の発達が人類の文明化の基本となっている。

日本代表に決定力のない原因の解明は簡単である。それはJリーグのレベルの低さゆえである。選手層が薄いにもかかわらず、チーム数が多い。その結果、力のない選手がレギュラーとなることができ、激しい競争もない。

この試合に日本代表として出場した若手の攻撃陣は、どうみても五輪代表どまり。代表の器ではない。にもかかわらず、彼らがいまのJリーグの攻撃的選手のレギュラーすなわち日本代表になってしまう。彼らはリーグで生存競争に勝ってきたというが、レベルが低すぎるのである。極論すれば、J1のチーム数が半数ならば、彼らの半数は控えである。そこでいまよりハイレベルな競争があれば、決定力のない選手は控えに落ちるのである。

生活がかかれば、自ずと技術は向上する。決定機を外してしまうFWは試合に出られない・・・この原理原則が日本のサッカーに貫徹していない。若い選手はボールを扱う技術はある。けれど、世界レベルで決定機を外してしまうその理由は、生活がかかっている守備とかかっていない攻撃の選手の気持ちと動きの差からなのである。

この試合で決定機を外した数名の若手選手の場合、欧米・南米ならば、次回代表として呼ばれる可能性は低い。もちろん、一試合で判断するかどうかは代表監督の選考基準だからなんとも言えないが、一般的にいえば、点がとれない攻撃的選手は代表の資格がないと考えなければ、どのような基準があるのか教えてほしい。

日本サッカーは危機にある。Jリーグが低レベルのまま放置され、優秀な外国人選手が寄り付かなくなれば、日本代表の強化もヘチマもない。いまJリーグで活躍している外国人選手は高齢化した、Jリーグ仕様にのみ耐えられる選手ばかりである。そんな選手がレギュラーをはり、得点王の上位にいる。鹿島の●、名古屋の●、大分の●、川崎の●・・・名前を挙げればきりがない。逆に、優秀なブラジル人選手は、Jリーグを経由して中東等に流出している。まさに“日本パッシング”である。


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