| 2008年09月08日(月) |
科学を無視する文部科学省外郭団体−日本相撲協会 |
検査結果で「クロ」と出たにも関わらず、本人が「やっていない」と言っている以上、検査結果を承知できない――というのが相撲協会の主張のようだ。証拠はあっても、本人が自白しない以上、その責を問わない、という主張と同じように聞こえる。協会の主張がとおるようなことがあれば、相撲協会は超法規的存在になってしまう。たとえば、協会内部で横領・着服等の犯罪が発生したとしよう。犯人が特定されたとしても本人が認めなければ、協会はその犯人を警察に引き渡さないというのだ。
大麻所持は違法だが、吸引は罪でない、という弁護士の主張もおかしい。相撲協会は力士の大麻吸引を認めるのか。副煙の可能性もあるという主張も同様だ。力士は大麻吸引者と同席しても本人が吸わなければいいというのか。副煙で検査結果が陽性になる可能性というのは、モクモクと大麻の煙が上がる中、密閉した空間に長時間大麻喫煙者と同席することを意味する。それが、国技を演ずる力士のモラルに適っているのだろうか。
このたびの大麻問題は、国技を任ずる相撲協会という、文部科学省所管の財団法人の内部で発生したことなのだ。これまで、大麻を所持した芸能人等の民間人が、取締法違反で規定された刑罰以上の社会的制裁を受けている。たとえば、芸能活動を中止し長期間の謹慎をしたりしている。なのに、国技を演じる力士が検査結果を無視し、「自分はやっていない」と、公共の電波の前で白を切りとおす。こんな醜悪な場面を見るのも久しぶりだ。そればかりではない。財団法人の理事長が、検査結果は信用できないとまで言う。科学を無視した態度だ。弟子がやっていない、といっているのだから検査結果を無視せよ、というのだ。こういうのを、“開いた口が塞がらない”というのだ。
繰り返すが、相撲協会という財団法人は文部科学省の所管だ。その監督下にある公益法人が、「科学」は信用できない、というのだから驚きである。国技を演ずる文科省の外郭団体が「科学」を無視し、傍若無人に振舞うというのであれば、教育もなにもあったものではない。国の教育も文部科学省の所管だ。国技を任ずる集団ならば「科学」を無視してもいい、国技を演ずる者は大麻を所持しなければ吸ってもいい、大麻を吸っている者と長時間同席してもいい、というのである。
当コラムで先述したとおり、相撲協会の諸事件の責任は文部科学大臣にある。大臣が責任を追求し問題解決に当たらなければ、この無法者集団は反省もしなければ、再発防止にも務めない。文科大臣は自分が所管する無法集団をいつまで野放しにする気であろうか。
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