Sports Enthusiast_1

2008年06月23日(月) 日本は世界の90位以下

(3/26/2008/マナマ)
GK サイド・サブト・アッバス
モハメド・ハサン
アブドゥラ・マルズーク
アブドゥラ・ファタディ
アブドゥラ・アルワダエイ
アラー・フバイル
モハメド・サルミーン
イスマイール・ハサン
サルマン・アリ
アブドゥラ・オマール
サイド・フセイン

(6/22/2008/埼玉)
GK:サイド・モハメド・ジャファル
モハメド・フセイン
アッバス・サイード・アヤド
サルマン・イサ
サイド・モハメド・アドナン
ハマド・ラケア・アルアネジ
サイド・マフムード・ジャラル・アルワダエイ
ファウジ・ムバラク・アイシュ
マフムード・アブドゥルラフマン
アブドゥラ・イスマイール・オマール
イスマイール・アブドゥルラティフ・イスマイール

まずもって、事実を知ってもらいたい。日本のスポーツ・マスコミ、とりわけ、中継するテレビ局はまったく事実というものを報道しない。テレビは、日本のサッカーファンを馬鹿にしている。

マナマと埼玉両方のバーレーン代表の先発メンバーを示した。筆者は勉強不足のため、バーレーンの個々の選手の実力を適正に把握していない。だが、予選進出を決めていない段階のホームの日本戦と、「消化試合」のアウエーでの日本戦のメンバーを比較して、後者が前者より力のある選手であるはずがない。バーレーンは、22日に埼玉で行われた日本戦に、メンバーを落として臨んだ。雨の中、日本代表と試合をした「バーレーン代表」は、バーレーン代表ではない。つまり3月26日、日本がマナマで負けた相手ではない。

説明するまでもなく、アジア3次予選の結果が出た後のこの試合は、「消化試合」だ。日本が勝って1位通過したところで、FIFAからなんらかのアドバンテージをもらえるわけではない。1位通過と騒いでいるのは、中継するテレビ局と、リベンジを誓う岡田監督だけだ。「消化試合」にバーレーンが2軍を送り込んでくることを予見したうえで、岡田監督は、この「消化試合」を「プライドを賭けた戦いだ」と位置づけた。実際は、負けてはいけない試合ではなく、負けるはずのない試合のはずだった。バーレーンが非難されるはずもない。テレビが絡んでいなければ、日本代表だってもっと自由にテストができたはずだ。普段出場機会のない選手や試したい選手を試合に出せたはずだ。

筆者は、岡田監督のこの“必勝”発言をまったく信用していなかった。本気で“必勝”を期す決意をしていたとしたら、代表監督としてというよりも、人間として頭がいかれていると考えるべきだ。岡田監督は、中継するテレビ局、代表スポンサー企業、チケット販売等を考慮して、本当は「消化試合」だけれど手を抜くのではなく、バーレーンの2軍と真剣にファイトして勝ちますよ、といいたかったのだと思う。予選通過が決まってしまった最終試合、高いチケットを購入する人は、かなりマニア的な日本代表サポーターくらいしかいないし、チャンネルを合わせてくれる視聴者も少ないと見るのが自然だ。

岡田監督はこの試合、建前とは裏腹に、警告が出ている主力選手を休ませた。また、大久保(神戸)が3試合出場停止で最終予選初戦に出場できない現状を考慮して、長らく代表を離れていた佐藤寿(J2広島)を、また、松井の代替要員として、本田(VVVフェンロ)をいきなり先発で起用しテストした。本気で必勝体制をとる気ならば、警告リーチは無視するだろうが、そんなことはあり得ない。

岡田監督の建前の犠牲者は、故障の中村俊だった。中村俊を休ませれば、建前の“必勝”は崩れてしまうし、中村の出場を望む代表サポーターから、批判を浴びる可能性もある。建前の本気度が、中村俊の強行出場によって担保された。

筆者は、岡田監督が本音を隠し、「プライド」という建前を前面に出し、「消化試合」を“必勝”と煽った言動を批判しようとは思わない。サポーターは、岡田監督の建前と本音を織り込んで、日本がバーレーンに快勝してくれればいい、最終予選に向かって大勝のお祭りサッカーで締めくくってくれればいい、苦しかった3次予選の最後を大勝(せめて快勝)で飾って、有終の美を飾ってくれれば、それで満足するつもりだったのだと思う。日本の代表サポーターは、懐もあたたかいし、気持ちもあたたかいのだ。

ところが、ところが、そんな有難いサポーターに冷水を浴びせたのが、岡田ジャパンだった。繰り返すが、世界ランキング90位程度のバーレーンが日本に送り込んできた「代表」の実態は、控え組だ。国際試合の経験が少なく、しかも、アウエー。当日のコンディションは大雨――バーレーン内で雨中の国際試合を経験した選手は少なかっただろう。

結果については、すでに多くの報道があり、サッカー評論家諸氏がコメントしたとおりなので、繰り返さない。日本は3次予選を突破してアジアで10位以内を確保したけれど、世界ランキング90位程度のバーレーンの控え組と、ホームで互角の実力であることが証明された。

日本がアジアで勝てる相手は、日本の高さが武器となる東南アジアの一部の国だけ。同じアジアでも、オイルマネーが潤沢で、強化に余念のない湾岸諸国、イラク、イランとなるともう危ない。さらに、東アジアでも、日本よりパワーのある北朝鮮、韓国には苦戦するだろう。

岡田監督のチームづくりはJ2方式だと以前、当コラムに書いた。J2からJ1に短期間で昇格するには、高いDFで固く守り、攻撃は、ブラジル等の外国人の代表経験者に任せるやり方だ。まさか、ブラジル国籍の海外選手を代表に入れるわけにはいかないから、岡田監督は元海外組の高原、そして現役海外組の中村俊、松井らを外国人選手に見立て代表に入れたが、元海外組、現海外組の攻撃陣はブラジル人代表経験者のような決定力がない。オマーン、タイまでは有効だったが、バーレーンには通用しなかった。

最終予選進出を決めている日本(2組)を除く9カ国とは、オーストラリア、カタール(1組)、バーレーン(2組)、韓国、北朝鮮(3組)、サウジアラビア、ウズベキスタン(4組)、イラン、UAE(5組)。アジア地区といっても、オーストラリア、ウズベキスタンは白人系で身長が高い。カタール、バーレーン、サウジアラビアはアフリカ系選手が多いので、身長が高い。イランもペルシア系で身長が高いので、日本の高さは通じない。さらに、苦手の北朝鮮、対戦成績で負け越している韓国の東アジア勢には苦戦が予想される。勝てる可能性が高いのは、UAEくらいか。

バーレーンの2軍を相手に、ホームで、しかも、日本はほぼレギュラークラスを揃えて勝ちにいったが、89分間得点を奪えず、終了1分前に相手GKのミスに救われ辛勝に終わった。この悲惨な結果をどう総括すべきなのか。(本音では、)勝負にこだわってませんでした、テストは失敗でした、と舌を出して済ますのか。そうなると、二枚舌の岡田は信用できない、どころか、人間性に問題ありだ。

建前と本音の使い分けは、プロスポーツであたりまえ、だから、何でもいいんだ、というのでは、モラルハザードがおきてしまう。政治家でも企業経営者でも、二枚舌を使いわけながら結果を出さなければ、指導者の適正を疑われる。結果が伴わない二枚舌が日本(の代表)のトップ(監督)でいいんだろうか。というよりも、いまの強化方針と選手選考では、日本は南アフリカに行けないどころか、長期停滞を招く。


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