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2008年03月25日(火) 日本はバーレーンに負けるかも

ナビスコ杯で結果がでなかったため、浦和がサポーターが騒いだらしい。仕方がないことだ。選手もフロントもサポーターの抗議を真摯に受け止め、強いクラブをつくってほしい。

浦和が勝てない理由は、当コラムにて前述したとおり、FWワシントンを放出したためだ。昨シーズン終了後、浦和首脳陣はワシントン頼みの得点パターンから脱するため、新しいタレントとして、高原、エジミウソンを獲った。この2人はワシントンよりスピードがあり、コンビネーションで得点を取れる選手だ。ところが、トップ下で浦和を支えたポンテの故障が癒えず、小野・長谷部が放出されたため、永井、田中を含めた豊富な攻撃陣を使いきる選手がいなくなった。サイドの山田はトップ下に適していない。ザルツブルクから呼び戻した三都主もケガをしたため、中盤の選手が一気に払底してしまった。

この緊急事態は事故ともいえるし、事前に防げたともいえる。サポーターとしては、三都主がケガをした時点で、ポンテの故障が治るまでの間、ネネ退団で空いた外国人枠を使って、クラブ首脳陣が外国人選手を探す努力をしてもよかった、ということだろう。しかし、これは結果論であって、三都主故障の時点で、いい外国人選手が探せた確率は低かったかもしれない。

浦和首脳陣が筋を通す覚悟があったのならば、ポンテ復帰までの間、梅崎を使うべきだった。ポンテと梅崎を比較すれば、現段階ではポンテのほうが上だ。しかし、ポンテの控えとして、若手優良株の梅崎をとったのだから、梅崎を先発で使えば、「育てる」という意味で結果が出なくともサポーターは納得したと思う。つまり、浦和混迷の原因は、「中盤」の問題ではない。

深刻なのは、高原だ。彼の不調の原因は何だろうか。筆者は、これも先述したとおり、病気もしくは体調不良だと考えている。しかも、過日、代表合宿のドバイで足の違和感を訴えたという報道があった。この報道には「情報戦」の可能性も潜んでいるので鵜呑みにはできないものの、故障が本当ならば、高原には深刻な肉体上の問題があると判断せざるを得ない。彼は、浦和移籍後、体調不良で東アジア選手権を辞退し、浦和のチーム練習に専念したのだから、時間的には体づくりに困るはずがない。ところが、Jリーグの開幕後2試合を見た限り、バイタルエリアにおける反応が悪かった。J1のFWとしてまるで脅威を感じないどころか、得点の予感がまったくしなかった。

日本代表は、高原ばかりでなく、MF稲本、FW玉田が違和感を訴え、稲本は代表から離脱した。ケガ・故障は仕方がない面もあるが、岡田ジャパンになって、代表選出後の故障者が多すぎるような気がしてならない。

代表は故障者が絶えず、Jリーグは、本命浦和が監督交代をしても混迷状態から脱出できず、開幕前には躍進が期待された川崎も公式戦で勝てない状態だ。この異変がオシムが病気で代表監督を辞してから起きていることは偶然だろうか。「オシム」という中心を失ったとたん、日本サッカーは代表もリーグも、バラバラ状態に陥ったのではないか。

同じことを繰り返すけれど、日本はサッカー発展途上国の1つだ。W杯日韓でベスト16、アジア杯連続制覇、W杯3連続出場と輝かしい戦績を残しているように見えるが、すべてアジアの中の話だ。サッカーにおいては、残念ながら、アジア全体が発展途上だ。

そのアジアは、長年、中東と東アジアが2大勢力圏を築いて競ってきたが、近年、豪州がそれに割って入ってきて、いまは中東、東アジア、豪州の三極時代に入っている。実力では、豪州が他の2地域より頭一つリードの状態だ。その豪州にあっても、オランダ人監督のヒディングが退任した後、代表は退潮局面に入った。日本もオシム退任後、進化のスピードが鈍り、現在の混迷を招いている。韓国も「日韓」以降、低迷を続け、ヒディング待望論が出るくらいだ。

その一方、中東勢はアフリカ系帰化選手を輸入して選手強化を図っているばかりか、指導者に関しては、オマーン、バーレーン、UAE、クウエートといったガルフ小国で顕著なように、バルカン、東欧等を母国とする“中東渡り鳥監督”をとっかえひっかえしながら、代表強化に努めている。サウジアラビア、イラン、イラクといった大国も例外ではない。

中東勢が代表監督を消耗品のように使い捨てることが代表強化にプラスなのかマイナスなのかは議論が分かれるところだと思うが、中東勢が自らをサッカー発展途上国であると自覚している点は正しい。代表「強化」の第一歩が「指導者選び」という規定は、同じ発展途上国の日本も見習うべき点だ。

というわけで、26日に行われるW杯アジア地区3次予選・日本vsバーレーンは、0−1でバーレーンの勝ちと予想してみた。日本の失点はセットプレーから。上がってきたバーレーンのアフリカ系長身DFに頭で決められるというもの。

日本はというと、高原は足の故障で途中交代し、もう一人のFW大久保、岡田監督が切り札として起用したFW玉田も得点に絡めず、バーレーンの固いDFに完封負け。

帰国後、この結果を受けて、浦和のオジェックに続いて岡田代表監督も退任・・・というドタバタになれば、かなりおもしろい。停滞する日本サッカー界に火がつくことを期待したい。


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