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2008年03月20日(木) バーレーンといかに戦うか

サッカー界はいま非常に忙しい。開幕したばかりのJリーグでは、優勝候補の浦和が2連敗し、電撃的監督交代があった。また、同時期にACL予選がスタートしたかと思うと、日本代表がW杯アジア3次予選バーレーン戦のため、Jリーグが中断。代表チームは中東に遠征し、その間、代表選手抜きのナビスコ杯の予選が始まった。

代表選手を抱えるクラブは選手が固定できず、コンビネーションの練習をする時間がない。先の東アジア選手権から、Jリーグ出場〜ACL出場〜中東遠征と、代表選手には息つく暇がなく、精神的・肉体的疲労が蓄積する。日本サッカー協会は、W杯予選・Jリーグ・天皇杯・ナビスコ等を総括的に見据え、抜本的日程見直しを行うべきだ。現行のような綱渡り的日程では、最も大切な財産である選手をいたずらに消耗させるだけだ。

Jリーグでは浦和が、オジェック解任、エンゲルス昇格の大鉈をふるって危機の脱出を図ろうと手を打ったため、Jの超ビッグクラブの凋落は回避されそうだ。ACLについては、日本人選手がアジアのレベルを知り、かつ、アウエーを体験する絶好の機会であり、クラブ、選手がこの体験を今後に上手に生かすことを祈念している。

さて、最後に残った日本代表のバーレーン戦だが、この試合は日本にとって、非常に厳しい戦いになると筆者は考えている。その理由は、まず、気候との戦いである。筆者は3月に中東に行ったことがない。報道によると、3月中旬のバーレーンは日中には気温は30度を超え、湿度も相当高いという。筆者が旅行したうちバーレーンに最も近い国はトルコだが、季節は12月末から1月初旬、イスタンブールは雪が降っていた。トルコとバーレーンはまったく気候が異なるようだ。

いま、日本代表はドバイで合宿に入った。試合結果は、残された1週間弱の合宿で、選手がどれだけコンディションを上げられるかにかかってくるわけで、気候との戦いは、技術や戦術以上に重要となる。

次に相手バーレーンをどうみるかだが、筆者はバーレーンのサッカーについて何も知らない。報道も管見の限りきわめて少ない。バーレーンについて報道してくれない日本のサッカージャーナリズムはいかがなものかと思うのだが、毎度のことなので諦めている。

少ない情報からバーレーン代表のイメージを練り上げてみると、まず、バーレーンDFは長身ぞろいで、アフリカ系の帰化選手が入っている。プレーの特徴はラフプレーが多いこと。おそらく、カウンター狙いの速攻中心で、中盤ではあまりボールを保持しないのではないか。FWにもアフリカ系のスピードのある選手が入っていて、この選手は相当実力が高い。中盤に高い技術をもった、目だった司令塔的な選手がいるかどうかは不明である。

以上の情報から浮かんでくるのは、先のアジア杯準決勝で当時の「オシムジャパン」を撃破した、サウジアラビアに似ているような気がするのだが、いかがであろうか。サウジアラビもアフリカ系帰化選手が主軸を構成したチームで、速さを特徴としていた。日本は、サウジアラビア戦では攻撃陣は健闘したが、中澤、阿部の日本のCBがスピード豊かな相手FWをマークしきれず失点を重ね攻め負けた。

攻撃面では、日本には、バーレーンの高いDFをかわすような、ゴール前での速い仕掛けが求められている。サイド攻撃では、単調なクロスは跳ね返されるので、CBを引き出す仕掛けが必要となる。また、サイドからセンターに戻しさらにサイドに揺さぶってクロスをあげるとか、ゴール近くでセンターとサイドのワンツーも効果があるかもしれない。

避けたいのは、日本が攻めあがったときに不用意に相手にボールを奪われ、相手に長い距離を走られてシュートを打たれる場面だ。この場面が日本が失点する確率がもっとも高い。ピッチコンディションが日本より良い可能性はないので、トラップミスが致命傷につながりやすい。

失点する確率が次に高いのがセットプレー。上がってきた長身のバーレーンDFのマークを日本が外して、相手に頭で決められたりする可能性もある。

不用意な奪われ方を回避するには、ボールをこねたり、慌ててパスミスをしないこと。中盤省略のロングボールも仕方がない。

当日の主審も気になる。「中東の笛」ももちろんあり得るが、こればかりはどうしようもない。

つまり、いろいろな意味で、バーレーンは「アウエーの難敵」だと定義し、結果ドローならば御の字という計算でよい。

合宿で練習中の怪我や病気もあるので、先発は予測できないが、希望を含めての予想は以下のとおり。

GK:楢崎正剛(名古屋)
DF:中澤佑二(横浜FM)阿部勇樹(浦和)今野泰幸(FC東京)
MF:右=駒野友一(磐田)左=安田理大(G大阪)
  :鈴木啓太(浦和)中村憲剛(川崎)
   遠藤保仁(G大阪)山瀬功治(横浜FM)
FW:田代有三(鹿島)

システムは3バック。阿部がリベロになる。田代のワントップで中盤を厚くして守備重視。相手に先制されたりした場合など、展開次第で4バックに戻し、玉田、大久保の投入もあり得る。


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