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2008年02月11日(月) 箍が外れた

日本代表が混乱している。東アジア選手権を控えて、主力の高原が離脱した。続いて、巻、阿部、大久保が怪我で離脱し、坪井が代表を引退した。怪我で離脱は仕方がない。筆者が理解できないのは、この一連の代表不参加が、代表メンバー発表後に判明したことだ。この混乱の主因は、筆者の憶測では、コンディションの上がらない高原を代表監督の岡田が特別扱いして、クラブに戻したことだと思われる。

岡田はドイツで準レギュラーだった高原及び人気クラブ浦和への心遣い、気兼ねから、“FWの1席は高原で決まり、だから、東アジアはいいよ、クラブで一生懸命練習してネ”と、浦和の高原を特別扱いを当然のこととして、代表不参加を認めたのだと思う。

この特別扱いは、フェアではない。そもそも、移籍した代表選手は高原だけではない。いまはシーズン前、全選手にとって、調整途上であり、調子が上がりにくい時期だ。体が動かないのは高原だけではない。高原が特別に調子が上がらないような病気をもっているのならば、彼は代表選手としての資質の1つを持っていないことになる。高原が才能のある選手であることを認めるけれど、代表選手というハードな役割は担えない。つまり、総合的に見て、彼も代表候補の1人にすぎないのだ。

代表選考の基準は代表監督によって違う。人間だから好みがある。サラリーマンの世界でも、上司が変わって抜擢される場合もあるしその逆もある。だが、そういう判定が許される範囲がある。誰の目から見ても納得できない不公正な人事ならば、企業がその上司の人事考課に疑問を呈し是正をするのが常だ。

今回の「高原特別扱い」は、岡田が高原に対し先見的高評価を与えていたことを示した。この高評価は、ジーコ元監督が鹿島時代の教え子である柳沢を特別に遇したことと表面上は似ている。しかし、その内実はちょっと違う。東アジア選手権が開催される2月中旬は、Jリーグ開幕を控えた時期だ。どのクラブも開幕に向けて、最も重要なチームづくりの時期にあたる。その中で、各クラブは主力選手を代表に供出する。クラブは、代表強化の錦の御旗の下、選手の将来性、付加価値形成という面も考慮して、クラブエゴを捨てて、代表に協力をする。それが、代表とクラブの大同団結の共通認識だ。さらに、クラブで調子が上がらない選手でも、代表合宿で新境地を開く可能性も高かった。代表合宿や国際試合を経験することで選手が成長するという期待もあった。

ところが、クラブは岡田ジャパンに選手を供出しても、何のメリットもないことを知った。岡田ジャパンでは、選手を預けても、選手の実力が上がらない。その理由は、岡田のサッカー理論、練習方法、サッカーに対する考え方がきわめて凡庸だからだ。

岡田は代表監督として、高原をどう扱うべきだったのか。ビッグクラブ浦和に対して、“代表で鍛えて、調子を上げてクラブにお返ししますよ”でよかった。岡田には高原を預かる自信がない。だから、浦和が怖くて、代表に呼ばなかったのだ。情けない。箍が外れた日本代表。クラブとの信頼関係も崩れている。


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