Sports Enthusiast_1

2007年12月15日(土) アフリカの壁

「クラブ世界一決定戦」準決勝は、浦和がミランに「順当負け」して、チュニジアのエトワールサヘルと3位決定戦に臨むこととなった。

筆者はサヘルを応援しているので浦和が負けることを望んでいるが、それはそれとして、この試合に特別の興味を抱いている。というのは、筆者はかねがね、日本のFIFAランキングが高い――現在の33位はバブルであって、50位程度が妥当――と指摘してきた。浦和とサヘルの一戦は、筆者の認識を傍証することになると思っている。

現在、FIFAランキング50位以内にアフリカ勢は10ヵ国入っているのだが、日本より上位には、ギニア(33位)、カメルーン(24位)、ナイジェリア(20位)の3カ国が、日本より下には、37位・コートジボワール、38位・セネガル、39位・モロッコ、41位・エジプト、43位・ガーナ、46位・マリ、47位・チュニジアの7ヵ国がランクされている。

今回アフリカ王者として参戦したサヘルはチュニジアのクラブで、チュニジアはFIFA50位以内のアフリカ勢としては47位と一番下。チュニジアは代表ランキングでは下位ながら、クラブレベルでは上位強豪国を抑えてアフリカ王者に君臨していることがわかる。

代表が戦うW杯においては、アフリカ勢の実力は計りかねる。アフリカ諸国は概ね協会の経済基盤が脆弱なため、コンディションづくりが難しい。大会前、長期合宿が不可能で、万全の調整ができないのだ。そのため、実力どおりの結果が出しにくい。代表の実力は、サッカーの技術に限らない。

このたびのクラブ戦の場合、サヘルの調整に問題はない。アウエーの長期滞在だから疲労が蓄積しているという見方もあろうが、これはスポーツ大会の宿命だからどうしようもない。ここで、内容を含めて浦和がサヘルに苦戦をするようであれば、日本のレベルはチュニジアとあまり差がないとも言える。

もちろん、クラブ同士の1試合でその国のサッカーの実力を比較はできないのだが、クラブチームを構成する個々の選手の力やチームコンセプト、組織力・規律等々の「実力」という意味の分節を比較することによって、日本とアフリカの実力比較は可能だと思う。幸い、サヘルにはチュニジア以外の代表選手もいる。比較対象としては、代表よりもクラブの方が適している。大雑把に言えば、クラブの実力=リーグの実力=その国の実力という等式も成り立つ。

日本の真の実力が37位〜47位に位置するアフリカ勢の7カ国を下回れば、日本のランキングは概ね50位と考えていい。アフリカの北と南とではサッカーを取り巻く環境に違いがあるとはいえ、FIFAランキング50位以内のアフリカ勢は、日本に立ち塞がる新しい厚い高い壁となっている。

筆者がアフリカ勢の実力の分析に関心を示す理由ば、日本がW杯で予選リーグを突破するためには、アフリカの壁を突破することが必要となるからだ。予選リーグで対戦する3カ国としては、欧州・南北アメリカそしてアフリカである。欧州・南米の強豪国から勝点3は上げにくいため、アフリカ勢から勝点3という計算が働く。W杯において、日本がアフリカの壁を破れなければ、日本が決勝トーナメントに進む確率は低い。しかも、身体能力において、アフリカ勢を上回ることは至難の技だ。となると・・・


 < 過去  INDEX  未来 >


tram