| 2007年11月16日(金) |
浦和ACL優勝の背景には |
選手層の厚さがある。浦和が日本のすべてのクラブが為しえなかったACL優勝を勝ち取った要因はいろいろあるけれど、チームづくりという面で考えるならば、一言で言って、選手層の厚さといわねばなるまい。J1の7〜8位くらいのクラブに換算すると、勇に2チーム分の編成だ。
有力選手をポジション別に見てみよう―― FW:ワシントン(ブラジル代表)、田中(日本代表)、永井(日本代表)。 MF:ポンテ、小野(日本代表)、山田(日本代表)、相馬、平川、鈴木(日本代表)、長谷部(日本代表)、岡野(日本代表)。 DF:堀之内、トゥーリオ(日本代表)、坪井(日本代表)、内館、ネネ(ブラジル代表)。 GK:都築(日本代表) さらに強調すべきは、DF〜MFのすべてのポジションがこなせる阿部(日本代表)がいることだ。
ACL決勝戦第2戦(浦和ホーム)で先制点を上げた永井はJリーグで常時先発ではないが、他のクラブなら常時出場の実力がある。2点目を上げた阿部は山田の負傷でMF(右サイド)に入った。坪井とネネは併用に近く、トゥーリオが欠場のときは阿部がリベロに入りる。
GKを除く10のポジションに対して、レギュラークラスが16人いて、しかも、阿部というオールラウンドの選手がポジション横断的に故障者、サスペンションの穴を埋めているのだから、浦和の強力ぶりがうかがえる。阿部ほどではないが、浦和の数人の選手が複数のポジションが可能で、たとえば、小野は左サイド、トップ下、ボランチが、長谷部はトップ下、ボランチが、永井はFWと右サイド、ができる。
浦和では、現日本代表の各選手にスポットライトが浴びる傾向が強いが、筆者の注目選手は左サイドの平川だ。彼は、ジーコジャパンの時代に、一部のサッカージャーナリストが代表入りを望んだほどの逸材。結局、ジーコ監督(当時)が彼を代表に呼ぶことはなかったけれど、左サイドが手薄なオシムジャパンに平川が呼ばれる可能性はある。山岸(千葉)よりも平川の方が、サイドプレイヤーらしいと筆者は思っている。加えて、来シーズンには、三都主がザルツブルクから復帰するることが決まっている。となると、左サイドは小野を含めて、三都主、平川、相馬の4人の争いになる。ちょっともったいない。
浦和の課題といえば、MF、DFに比べて劣るFWだ。来季「契約なし」といわれているワシントンの穴をだれが埋めるのか。浦和のFWの3人のうち、ワシントンを除くと、センターフォワードタイプで、ポストプレーができる選手がいない。ワシントンのパワーはアジアでは群を抜いていたので、彼がチームを離れるとなると、もともと攻撃力に難があるチームだけに得点力は大幅に減少する。
冗談をいえば、浦和に最も相応しいFWといえばフランス代表のアンリだと思うのだが、アンリがJリーグにくることはあるまい。Jの中から見つけるとなると、なかなか思い浮かばないのだが、川崎で出場機会に恵まれない我那覇、黒津、あるいは、巷間噂されているエジミュウソン(新潟)あたりだろうか。
もう1つの課題が右サイド。山田の負傷欠場を埋めたのは阿部だったけれど、これは応急処置のようなもの。左サイドの平川が右にまわることもありえると思うが、筆者の希望としては、水野(千葉)を補強したい。
浦和の誇る選手層の厚さだけれど、こうしてみると、ポジションによっては必ずしも万全でないことがわかる。バランスの取れたチーム構成にするためには、中盤のまんなかに偏った選手編成を見直し、2〜3のポジションで選手を入れ替える必要があることがわかる。
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