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2007年10月15日(月) “亀田的なもの”を生み育てた者たち

報道によると、日本ボクシングコミッション(JBC)は15日、東京都内で倫理委員会を開き、11日の世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトル戦で反則を繰り返した亀田大毅に1年間のボクサーライセンス停止、セコンドについた父・史郎トレーナーに無期限のセコンドライセンス停止、兄の亀田興毅に厳重戒告、協栄ジムの金平桂一郎会長はクラブオーナーライセンス3カ月間停止とした。だが、この処分を妥当だと考えるのは、亀田ファミリーとそのシンパ、並びに亀田ファミリーの元締め・TBSくらいだろう。

そもそも、WBCのルールでは、親族のセコンドを禁止しているという。このことは、筆者は不覚にも不勉強で知らなかった。だが、ボクシング評論家、スポーツジャーナリスト諸氏が知らないでは済まされない。彼らは、スポーツ報道・スポーツ評論でメシを食っているプロなのだから。彼らは、亀田家のルール違反を広く、報道すべきだった。

亀田ファミリーをスポンサードしているTBSも知らないでは済まされない。TBSは一応、日本ではジャーナリズムだとされている(もちろん筆者はTBSをジャーナリズムだとは考えていないが)。TBSは政治家のカネの問題では正義の味方面して、その違反を声高に報道するが、自らがスポンサードする亀田ファミリーのルール違反については黙認して興行を続けていた。

JBCにも責任ある。WBCルールを国内で勝手に変えて運用する根拠はなんなのか。ルール無視のコミッションなのだから、亀田ファミリーの反則行為を処分する資格がない。

結局、亀田ファミリーの反則を許容したのは、▽JBC、▽TBS、▽ボクシング評論家、▽スポーツジャーナリズム――ということになる。プロボクシング関係者が一蓮托生、亀田ファミリーにぶら下がって、亀田ファミリーが生み出すカネに群がっていたのだ。

さて、亀田ファミリーについては、かつて、やく・みつる氏がテレビのワイドショーの番組中、史郎トレーナーと大喧嘩をしたことが思い出される。今にして思えば、やく氏の亀田ファミリー攻撃の正当性が証明されたことになる。やく氏の慧眼に敬意を表するとともに、あのとき亀田ファミリーを擁護した人びとに反省を促したい。もちろん、筆者はこのコラムでやく氏を支持した。

スポーツに限らず、目先のゼニに飛びつくと、最も大事なものを失うことがある。スポーツ(文化)がルールを捨てて目先のゼニに飛びつけば、長年築いてきた「実力の世界」という原則を失う。日本プロボクシング界はいま、瀬戸際にある。「亀田方式」で目先のゼニを追うのか、それとも地道に実力を磨くのか――


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