筆者には、ボクシングは最も美しいスポーツの1つという思いがある。もちろん、その一方でマッチメーキングを巡る不純さ、選手の過酷な減量という不条理があることは承知している。それでも、ボクシングは立ち技格闘技の中で、群を抜いて美しい。そのリングは神聖なものだ。
しかし、世界戦という最高レベルの場において、1ラウンド(最終12R)で減点3という、前代未聞の反則行為が挑戦者によってなされてしまった。またしても、亀田ファミリーの仕業である。神聖なリングへの冒涜である。王者に怪我がなくてよかった。一歩誤れば、世界戦で反則負けが起きたかもしれない。ルール無視のけんかが行われたかもしれない、と思うと・・・
亀田ファミリーについては、もうコメントしないつもりだった。ボクシング界から追放したいところだが、興行の観点から無理なのだろう。ただ、TBSという公共の電波が彼らをスポンサードするのなら、その対象のスポーツマンシップの有無、人間としての品位、品格の有無を問うたほうがいい。プロスポーツ選手には、その実力以上に、社会人としての品位・品格が求められている。高名なスポーツ選手が若者に与える影響が大きいがゆえである。それらを持ち合わせていない者は選手失格!与太者に過ぎない。与太者を支援するのは、与太者でゼニ儲けを企む与太者であって、公共の電波を扱う業者の資格を返上したほうが良い。
何度も言うけれど、亀田兄弟の見苦しさ、品位品格のなさ、スポーツマンシップの欠如の主因は、父の史郎トレーナーにある。史郎トレーナーが兄弟につきまとう以上、兄弟の蛮行、愚行はリング及びその周辺から消えない。
対戦する相手選手・関係者へのリスペクトの欠如、ガンとばし、年上の王者を口汚くののしってきた言動・・・そして、ついには、世界タイトルマッチにおける反則。
史郎トレーナーがその態度を改めることがないのなら、トレーナーの資格を剥奪したほうがいい。ボクシング界からの追放もいよいよ選択肢に上る時期に来ている。
さて、この試合の内容について期待していたボクシングファンは、多くはなかったのではないか。あるスポーツサイトが行った勝敗予想では、「王者・内藤の勝ち」が8割を超えていたと思う。この予想結果は、健全なボクシングファンが8割を占めているという裏づけ数値でもある。
多くのボクシングファンは、亀田の負けに期待していた。亀田ファミリーが負けて、凹むのを見たかったのだ。当然である。そもそも、挑戦者(18才)は、10戦全勝(7KO)の戦績を誇っていたものの、その対戦相手は実力が不明な外国人選手ばかり。世界戦に出てくる実力はない。「日本人と試合をするべきだ」という批判の声は根強かったし、体力は別として、ボクシングのレベルは6回戦程度。負けは当然だ。
内容としてはレベルの低い試合だったものの、それを補って余りあったのは、王者内藤のすがすがしい態度だった。「亀田に勝つという、国民的期待にこたえられてうれしい」というコメントが、この試合のすべてを表していた。日本のボクシング界がここまで築いてきた「神聖なリング」の伝統を、内藤が亀田ファミリーから守ったとも換言できる。
|