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2007年08月26日(日) 相撲協会は朝青龍をモンゴルに厄介払いか

朝青龍「騒動」もいよいよ佳境に近づいてきた。夏季休暇中だった理事長が朝青龍のモンゴル治療をほのめかし、帰国のレールが一挙に敷かれたかのようだが、週刊誌によると、理事長登場前にすでに朝青龍の荷物の運び出しが終わっており、朝青龍がモンゴルに出発するのは既定路線の疑いが濃い。

そもそも、この「騒動」の発端は朝青龍が巡業に不参加だったこと。巡業不参加理由は、報道では、彼の故障、ケガだった。不参加の許可はもちろん、相撲協会が下ろした。ところが、朝青龍が母国で元気でサッカーをやっている映像が流れて、朝青龍が虚偽の届出をしたことが明らかになった。

もしもあの映像が流れなかったならば、朝青龍はそのまま虚偽の申し出で巡業を休み、いまごろは何もなく過ごしていたことになる。先に書いたとおり、朝青龍の巡業不参加を許可したのは相撲協会なのだ。相撲協会が医者の診断書もなく、朝青龍の言葉を鵜呑みにしたとすれば、相撲協会にも責任の一端がある。だから、相撲協会は、朝青龍巡業不参加許可の経緯を明らかにすべきなのだ。

推測では、朝青龍から巡業不参加の申し出があったとき、相撲協会は診断書もないまま、言うがまま許可を出したのだと思う。これまで、朝青龍と相撲協会の関係は、その程度のものだった。朝青龍がケガだ、故障だ、といえば、協会はそのまま受け入れていた。ところが、こんどばかりは協会が突然朝青龍に牙をむいた。協会が下した処分は、彼にしてみれば、もちろん想定外だ。と同時にマスコミが騒ぎ出した。協会は、そこで彼を神経症に仕立て上げ、世間との交渉を絶った。朝青龍の発言を事実上、封じ込めたのだ。かわるがわる胡散臭い神経科の医者が登場し、騒動の主役はいつのまにか医師たちになってしまった感がある。協会の作戦は見事成功した。後はころあいを見計らって、朝青龍をモンゴルに送り出すことだけだ。

そもそも相撲協会は、朝青龍に処分を出す資格をもっていない。これまで、なあなあでやってきた間柄なのだから、同じ穴の狢なのだ。筆者はだから、朝青龍に同情する。朝青龍の仮病、巡業不参加をサボタージュだというのならば、相撲協会がそのような行為を禁ずるルールを具備し、それを万人に課してきたのかと問いたい。厳格なルールに則って相撲レスラーを管理してきたのかと問いたい。筆者の推測では、少なくとも、これまでは、朝青龍には適応してこなかったはずだ。相撲協会は人気力士に対して、朝青龍に限らず、わがままを許してきたはずだ。

相撲協会は八百長疑惑で週刊誌に詰め寄られたし、モンゴル出身力士には、モンゴルビジネスにまつわる疑惑が絶えない。朝青龍の巡業不参加の理由は、彼がモンゴルビジネスでどうしても帰国せざるを得ない事情のためだった、という報道もある。モンゴル出身力士は、バブル経済下の母国で、一体全体どんなサイドビジネスを繰り広げているというのだ。それは国技を演じる相撲レスラーに許されるサイドビジネスなのだろうか。

相撲協会は国技を司る団体として、相撲レスラーの土俵外の不透明な行為を調査し、節度を重んずるよう指導する立場にあるはずだ。バブル経済下では、かつて日本がそうであったように、不祥事、経済犯罪が生じやすい。協会は日本のバブル経済体験の教訓を生かし、相撲レスラーが経済犯罪に巻き込まれないよう、管理する責任がある。相撲協会は財団法人なのだから、所轄の官庁はその構成者である相撲レスラーの経済活動と財団のあり方について、調査の対象とすべきではないか。

さて、結論をいえば、理事長が朝青龍をモンゴルに帰国させる裏には、朝青龍に係る諸々の疑惑のすべてを隠蔽しようとする意図があると推測できる。相撲協会は、専属のお抱え医師に朝青龍を診断させ、医者の権威で治療と称して彼をモンゴルに帰国させる算段だ。目的は朝青龍とマスコミ、世間の接触・交渉を不可能にするためだ。モンゴルならば、日本のマスコミに制約がかかる。日本ほど自由には振舞えない。朝青龍が日本にいれば、彼が自由に表に出て、何を話すかわかったものではない。朝青龍が協会を批判する可能性はもちろん高い。だから、協会はとにかく朝青龍の口を封じ、彼が日本に帰ってこなければ、むしろそのほうが都合がいいのだ。

権謀術数に長けたこんな腐敗した協会に、神聖な「国技」を管理させておいていいのだろうか。


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