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2007年07月20日(金) 松坂の危険度はレベル4

久々に野球について書く。日本プロ野球では、ちょうどオールスター戦の第一戦目が終わったところ。かつては「夢の球宴」とまで言われたオールスター戦だけれど、セパ交流戦が公式化されたいま、新鮮な驚きはない。

米国MLBでは日本より早くインターリーグ(交流戦)を取り入れており、異なったリーグのスター同士の対決はシーズン中に堪能できる。MLBでは、そんなこともあり、オールスターは1試合しか開催しない。とは言え、交流戦があるのだからオールスターゲームをやめたらどうか、という議論がMLBで起きたためしもない。

オールスターゲームの意義は、異なったリーグのスター選手同士の対決ではなく、シーズン折り返し点までのところで活躍した選手、実績のある選手を選び出すことにある。オールスターゲームは、MLBの2つのリーグから、米国代表チームを2つ編成する作業のようなものだ。選手にとっては、選ばれることが名誉である。選ばれたということで、リーグのベストメンバーの一人となったことが確認される。試合は確認の儀式にすぎない。だから1試合で十分なのだ。

オールスターに選出されたということは、いま時点で最高のプレーヤーの一人となったことの象徴なのだから、当然、契約金に影響する。

オールスターを指標とするならば、日本人大リーガーの中では、松坂よりも岡島のほうが評価が高いことがわかる。岡島の方が、チーム貢献度が高いというわけだ。現時点における、米国野球界の判断としては、岡島のほうが松坂より高いし、ファンもそう受け止めている。

そのような観点からながめれば、日本のオールスターゲームが2試合ある根拠がない。「夢の対決」をうたっても、「夢」はすでに「現実」に乗り越えられている。日本野球界もMLBに倣い、オールスターを1試合にすることだ。

そればかりではない。優秀な選手を真剣に選出するシステムを、MLBに先んじて、日本プロ野球機構が創出すべきだろう。たとえば、ファン投票をポイント制にして、選出に占める比重を落とすことが考えられるし、監督推薦、スポーツ記者推薦等の枠を新設することも考えられる。あるいは、ファン投票、監督推薦、記者推薦をそれぞれポイント制にして、総合得点評価で選手を選ぶ方法もある。選手が選ばれたことで誇りとなるような合理的な選出方法をつくり、1試合集中で開催すれば、オールスターの価値が高まる。オールスターに選ばれながら試合に出場できなかった選手には、新たなモチベーションが与えられることになる。“来年は絶対に先発出場してみせる・・・”と。

さて、岡島に先を越された松坂だが、ここ2試合、いやな負け方が続いた。筆者がテレビ画面から得た感触では、松坂には疲労が蓄積している。きょう(20日)のホワイトソックス戦では、6回井口に与えた四球から連続3四球と制球を乱した。試合序盤に全力投球のストレートを投げすぎて、6回もたなかったわけだ。この乱調は、肩の疲労によるものだ。

松坂はMLB移籍直後、自分流と称して、コーチの指示を無視し、無理な練習をした。試合でも、先発の制限球数を無視するような態度をとってきた。中4日、広い米国で投げ続けるスタミナは、いまの(ルーキーの)松坂にはないにもかかわらずだ。

松坂には、明らかに驕りがあった。このまま、松坂が試合前の投げ込みや走り込みを続ければ、彼は肘、肩等を傷める。しかも、投球フォームにおいて、左足に重心を乗せることを意識しすぎるあまり肘が下がり、投球中に肘を無理に上げようとして、“かついで”いる。この“かつぐ”という表現は、MLB移籍後の松坂を辛口評価した評論家H氏が使用したもの。H氏の指摘を、当コラムで紹介したことがある。

松坂がこのフォームで投げ続ければ、肩よりも肘を悪くする。かりに今シーズン乗り切れたとしても、来季の成績は期待できない。松坂こそ、伊良部の二の舞となる。


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tram