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2007年05月29日(火) 引分、負のスパイラル

浦和がホームで勝てなくなった。当コラム・ 2007年03月19日(月)付け「簡単に負けてはいけない」で書いたとおり、浦和に勝点3を献上しない、ここのところの各チームの健闘ぶりは、たいへん結構な傾向だ。

第13節、浦和は辛うじて、横浜Mと引分けたが、内容的には負けに等しかった。横浜Mは引いて守るのではなく、前から積極的な守備でボールを奪い、早い攻撃を仕掛けた。対する浦和は、セットプレー(CK)からの1点にとどまった。負けなくて幸いだった。

浦和がホームで簡単に勝てなくなった理由はいろいろある。ACL予選による疲れ、トゥーリオの欠場、三都主の移籍、小野を筆頭とした選手の監督不信・・・などが挙げられるが、こうした内在的な理由以外に、相手チームが浦和に勝点3を簡単に渡さない試合をしていることが一番だと思う。

浦和を簡単に勝たせない方策の第一は、FWワシントンの徹底マーク。横浜Mは、この大任を栗原が果たした。第二は、サイド攻撃。横浜Mの右サイド田中と浦和の左サイドハーフの相馬がマッチアップし、田中が勝った。

横浜Mのダブルボランチが攻守で浦和の中盤を制し、横浜Mのサイドバックが浦和のサイドハーフを制したのだから、必然的に横浜Mのポゼッションが高まり、攻撃の形をつくることができた。横浜Mの4−4−2が、浦和の流動的な3−2−2−2−1の陣形を押し込んだことになり、後半、浦和は、相馬を下げて阿部を左SBに入れ、阿部のポジションに長谷部を入れて、4バックに変更せざるを得なくなった。

試合後、浦和の一部サポーターから、ブーイングがあった。ホームで引分ばかりなので、サポーター内部に欲求不満がたまったようだ。現象的には、引分による欲求不満のスパイラルが選手とサポーターに起こり、浦和はますます勝てなくなる可能性もある。

ただ、この一戦を浦和サポーターではない筆者の目線で見れば、横浜Mの健闘を讃えるべきだと考える。とりわけ、点は入らなかったが、坂田のスピードとシュート力は現在のJリーグの日本人FWでは群を抜いている。残された課題は、正確さ、精度を上げることだが、この課題は練習と経験で克服できる。

浦和は、「日本のチェルシー」と呼ばれる金満クラブ。FWワシントン、DFネネはブラジル代表経験があり、ポンセはブンデスリーガで活躍した選手。日本代表経験者としては、小野(MF)、阿部(MF)、鈴木(MF)、長谷部(MF)、坪井(DF)、山田(MF)、都築(GK)、控えに永井(FW)岡野(MF)と、スター選手がひしめいている。(トゥーリオはケガのためベンチ外)。

昨シーズンは、そんな浦和に対して、アウエーチームが玉砕していた。ワシントンにマークがつかず、やりたい放題で点をとられたし、強いプレスもなければ、ブロックも敷かない。 一方、今シーズンの各チームは、昨シーズンのようなぬるさがないし、工夫が見られる。キリンカップでJリーグは中断するが、各チームが浦和対策をしっかり固めて、浦和を簡単に勝たせない戦いを続けてほしい。

さて、浦和復活のカギがトゥーリオの復帰次第だとするならば、彼のケガが長引くことにより、オジェック監督は「宝の持ち腐れ」のまま、浦和を退団する可能性もある。Jリーグ再開後もトゥーリオの復帰がないのならば、彼の不在を前提とした、たとえば、ワシントンのワントップから、ツートップへの移行も選択肢としてある。2トップの一角は、俊敏性をもったFW、つまり、田中(達)の復帰を意味しているから、田中(達)が間に合わなければ、もちろん、この選択肢はあり得ない。


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