| 2007年03月21日(水) |
華麗に変身、大久保嘉人に期待する |
神戸に移籍した大久保が変身した。第3節の横浜M戦、大久保は左MFで先発し、先制点をはじめ2得点を上げた。2得点はもちろん立派なことだけれど、大久保の変身は、チームへの貢献にあった。それは得点以上の価値があった。
先制点のきっかけは、大久保がマリノスGK榎本と神戸FWパクの間に出した、絶妙のパスだった。パスに素早く反応したパクに慌てたマリノスGKは、ペナルティーエリアの外に出て、パクを手で引っ掛けて倒した(榎本はレッドで退場)。大久保の先制点は、このフリーキックから生まれた。
大久保といえば、筆者は当コラムで何度もマナーの悪さを指摘してきた。審判へのクレーム、相手DFへの悪質なファウル、規律を無視した傲慢な個人プレー・・・が多く、実力は高いが、品格を欠いていた。ところが、この試合では、大久保が主審に文句をつけるシーンは、TV画面上からは認められなかった。しかも、彼は守備では自陣ゴール近くまで下がり、攻撃では敵陣ゴール前まで上がっている。下がった位置のマイボールは、大久保が基点となって、前線に絶妙なパスとなる。前に出れば、大久保は積極的に得点に絡み、シュートまでもっていく。
運動量と戦術眼が見事に総合化し大久保は、司令塔としての役割をほぼ完全にこなした。横浜Mが一人少なかったということはあまり、重要ではない。大久保は相手が一人少なくなる前から、自分の役割を忠実に実行し、相手が少なくなっても、そのプレーぶりに変化はなかった。特に非凡なのは、彼のパスセンスである。パスの速さ、出す場所、タイミング・・・は、見事というほかない。大久保は、味方選手を理解し信頼しているから、あのようなパスが出せるのだと思う。神戸監督・松田浩の指導の成果であろう。
中継アナ氏及び解説者氏は、大久保の「新しい発見」と表現して絶賛していたが、まったくそのとおり。彼のプレーから、これまでの粗雑さ、傲慢さが消え、“エレガントさ”さえ感じられた。筆者は、大久保という選手は、サッカーが上手なのだなーと感じた。大久保は、攻撃的MFとして、日本代表に必要な選手の一人になりそうだ。
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