といえば、プロ野球オリックスの清原だろう。1〜2月のスポーツ端境期、「キャンプ便り」等のテレビ報道番組で清原をクローズアップしない番組はない。
オフシーズンには、可能性はだれにでもある。すべての野球選手は今年こそ――という意気込みでキャンプインする。前シーズン良い成績をおさめたものもそうでないものも、前向きでない選手は存在しない。そんな時期、清原はテレビにとって「絵になる」選手のようだ。
清原の今シーズンの可能性は・・・といえば、筆者の予感では「活躍できない」となる。テレビ映像で見た清原の印象は、相変わらず体重オーバー、上半身の筋肉のつき過ぎに映る。プロ野球の野手――打って走って投げて――を可能にする体型には映らない。おそらく清原はシーズンインした後、概ね二月でリタイアするだろう。
オリックスの新監督はアメリカ人だ。この新監督が清原をどのように起用していくか未知数だが、清原が指名打者で5番、6番を打つことになれば、一塁への全力疾走、次塁を目指す全力疾走の機会は少なくない。そのとき、清原の下半身が自らの重い上半身を支えることができなくなり、故障が生じる。
加えて、新監督が当たり前に勝つための野球を目指すならば、打つ・走る・投げる・守る、のバランスを重視するに違いない。野球においては、バランス重視こそが勝率アップの基本であることは、野球素人にも了解可能事項だ。そうなれば、清原の先発出場数は減る。“一振り”に賭ける代打専門という役割もあるかもしれないが、清原に代打専門で勝利に貢献するような資質はないと筆者は見る。
筆者は、清原について、上半身の無駄な筋肉を落とすこと、体重を絞ること、下半身を鍛錬すること――を繰り返し当コラムで書いてきた。一般的に言って、フリー打撃で何本柵越えするかよりも、実戦形式で投手の生きた球を打ち、状況に応じて動く練習を重ねることがプラスになる。スポーツ選手にとっては、実戦の動きを重ねることこそが、必要な筋肉の鍛錬に直結する。筋トレは基礎体力、筋肉の強度を高める効果があることを否定しないが、筋トレをいくら重ねても、実戦の筋肉が強化できるわけではない。筋トレをやりすぎれば、無駄な筋肉が選手生命を短くする。
清原は、シーズンオフ、総合格闘技の秋山のセコンドを務めたものの、秋山がルール違反で失格となった。秋山が犯したルール違反の責は、セコンド陣に帰せられておかしくないもののようだったが、そのことを指摘したスポーツマスコミはない。もっとも、秋山のルール違反の判定そのものが曖昧で、その真相は明らかでない。
清原がお飾りでセコンドを務めただけならば、清原に責任はないとも言える。とは言え、スポーツ選手は公正を旨とするのだから、この事件は秋山・清原の二人の高名なスポーツ選手の人生に汚点を残したと言える。しかも、セコンド・清原がこの件について発言したという報道は、管見の限りで見当たらない。都合の悪いことは言わない、という姿勢はいかがなものか。いろいろな意味で、オフの主役にふさわしい。
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