| 2006年11月17日(金) |
07年に課題残した日本代表 |
アジア杯予選・日本vsサウジアラビアは、日本が3−1で快勝した。両チームともに予選通過を決めた消化試合。TV中継からも、ゆるく、のんびりした雰囲気が漂っている。こんな雰囲気の中、ホームで負けたとしたら、いまの日本代表は解散したほうがいい。
話題性・重要性に乏しい試合だけに、逆に、監督としては思い切った実験が可能な試合だともいえる。前監督のジーコだったら、こんな試合でも見当違いに海外組を召集したかなと、往時を懐かしんでみたりした。
そんな中、僅かながらのサプライズがあった。日本代表の先発に、本職のCBが1人も入っていないのだ。DFは3人で、リベロ=トゥーリオ、CB=阿部(千葉)、今野(F東京)。MFにはSH=加地(G大阪)、駒野(広島)。ボランチ=鈴木(浦和)、中村(川崎)、トップ下=三都主(浦和)。FW=我那覇(川崎)、巻(千葉)の2トップ。鈴木の1ボランチなのか中村との2ボランチなのかは試合が始まっても流動的でわからないくらい、ポジションは流動的だった。
2トップ以外MFの選手で構成された先発メンバーは、アウエーのサウジが引いて守り、要所でカウンター攻撃にくる、と決めたからなのか、ほかに実験的な意味があるのか不明。とにかく結果論でいえば、3点(終了間際にトゥーリオのPK失敗がなければ4点)を上げたのだから成功といえる。
だが、不安はぬぐいきれない。サウジに与えた1点は今野がペナルティーエリア内でサウジの選手の首に手をかけたとして与えたPKだった。微妙なプレーで、主審の誤審かどうかは別としても、不慣れな急造CBである今野のミスだった。相手はゴールを背にしているのだから、決定機ではない、慌てて抱きかかえる必要などなかった。DFとしての経験不足が招いた事故だろう。
そればかりではない。今野、阿部のCBで、欧州、アフリカの長身選手に対して、空中戦が戦えるのかという不安が残る。空中戦を制するに身長だけとはいわないが、今野のジャンプ力と位置取りがワールドクラスの相手に通ずるのかどうか。今野の良さは、驚異的スタミナとタイミングのいいミドルシュート。もう少し前のほうが、適しているように思うのだが。
リベロのトゥーリオが1点目を叩き出したが、これも相手が相手、消化試合・・・というシチュエーションだから為せる技、という気がしてならない。彼は試合終了間際のPKを外したが、もともとクラブでPKを蹴っていない選手。千葉でPKを蹴っている阿部に任せるべきだった。
2006年の最終公式戦に快勝という結果が残ったが、安心できる内容ではない。細部でミスが多かった。2点差以上で勝つ(予選1位通過がかかった)というノルマを果たしたけれど、前途多難を予感させる試合内容だった。
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