サッカー日本代表のメンバー選定が手間取っている。その理由は、サッカー協会が決めた、ごちゃごちゃの日程にある。 まず、A3(東アジア3国のカップ戦王者・リーグ戦王者の戦い)の試合が東京で、8月2日、5日・8日に組まれている。A3には、Jリーグ王者のG大阪とナビスコ杯王者の千葉が出場している。しかも、7日にU21代表が中国代表とアウエーで試合をする。 さらに驚くなかれ、A3が終わった翌日の9日に、日本vsトリニダードトバゴの親善試合が東京で組まれていて、しかも16日には、公式戦(アジア杯予選)である日本vsイエメンが新潟で組まれ、2週間後の9月1日に同じくサウジアラビア戦が9月1日にサウジで開かれ、6日にイエメン戦がイエメンで予定されている。重要なのは、公式戦のアジア杯予選であって、親善試合のトリニダードトバゴ戦の位置づけが不明だ。A3に出場したG大阪、千葉の代表級選手は、いくらなんでも、翌日のトリニダードトバゴ戦には出場できない。代表監督が新しくなった初戦に日本を代表する2つのクラブの主力が出られない代表戦(親善試合)をなぜ、この日に入れなければならなかったのだろうか。 川淵会長はジーコ監督と組んで、代表戦を各方面に売り込んだ。その結果、メーンスポンサーはキリンが取得し、テレビ放映権の方は、テレビ朝日が主力となった。「日本代表ブランド」が協会に多額の資金を呼び込んだことは言うまでもない。もちろん、協会が資金を捻出するために、メーンスポンサーを決め、試合をテレビ局に売ることは構わない。しかし、滅茶苦茶の日程で、代表運営を混乱させるようなものであれば、せっかく育てた「代表ブランド」の威力が消滅する結果をもたらすことは、日韓以降ドイツに至る過程で明白になったはずだ。 普通の神経の代表監督なら、こんな日程に反発するのだが、前監督のジーコは川淵会長と金儲けについては意志一致ができていた。協会のいうがままに代表選手を集め、「日本代表は世界クラス」だとマスコミに話し続けた。 さて、筆者が代表監督ならば、この強行日程をどう処理するか考えてみた。 まず、親善試合のトリニダードトバゴ戦だが、千葉・G大阪の選手を除いた若手中心で戦う。勝敗はもちろん、こだわらない。集められる有望な若手を緊急合宿で召集し、オシムサッカーの理念を説く。そこまでだ。 重要なのは公式戦の16日のイエメン戦だから、G大阪、千葉を含めた現状で最強のメンバーを召集する。合宿開始日がいつからか知らないが、海外組を含めてもいいのではないか。 トリニダードトバゴ戦を落としたとしても、騒ぐに値しない。そこで、オシムの危機をキャンペーンするマスコミがあったとしても、そんなものはイエロージャーナリズムだと規定して無視すればいい。 この先、川淵ゼニゲバ路線とオシム正統派路線が抜き差しならぬ対立を生む危険を孕んでいる。日本代表の先行きは不安だらけだ。
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