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2006年08月02日(水) 日本のプロボクシングが死んだ日

◎「八百長説」に軍配

亀田興毅が勝った。八百長ではないが、不正ジャッジだ。だれが見たって亀田の負けにもかかわらず、3人のジャッジの2人が亀田に勝ちをつけた。あり得ない判定だ。2006年8月2日は、日本の国際式プロボクシングが死んだ日として記憶されるだろう。これまで、数々の世界王者を輩出してきた日本のボクシング界に最大の汚点を残した。
そればかりではない。この試合の措置をもって、亀田興毅のこれまでの試合が八百長であったことが実証されてしまった。本当に残念だ。まさか、そこまではというのが、筆者のスタンスだった。一方、巷の有力ブログは亀田の試合は八百長だと主張した。結果的には筆者の見方が甘かったことになる。常識的なボクシングファンならば、これから興行される亀田兄弟の試合を見ないだろう。
試合はランダエタが亀田から1回にダウンを奪い、11回にはダウン寸前まで追い詰めた。2−10回は双方がラウンドをとったのだが両者僅差(おそらく1ポイントの差)なので、1回と11回のポイントが試合を決するはずだ。
試合前、筆者が当コラムで予想したとおり、亀田の方が体力的には優位だった。TV観戦でも、亀田のパンチの重さの方がランダエタを上回っていたと思われた。しかし、手数、正確さ、有効打数において圧倒的にランダエタのほうが上だ。亀田はランダエタを2階級上回っているので、ランダエタは亀田をKOできなかったが、同級ならば亀田はもっと早く倒されていただろう。
これほど明白な試合だ、「亀田伝説」も一段落し、ボクシング界も平静さを取り戻すのだな、と思った矢先、大観衆の目の前で、「汚い手」が使われ、世界チャンピオンがつくられた。「汚い手」をだれがどう仕組んだかは、証拠はないけれど、だれもがわかっている。TBSよ、そこまでやるか!

◎こんな「判定」でいいのか

最後に言っておくと、亀田ブームで青少年がボクシングに興味を持ち始めたという。そんな副次的効果があったのだ。しかし、注目度の高いこの試合で、疑惑・不正・ペテンが行われた。つまり、プロボクシングが胡散臭いことを白日の下に晒してしまったのだ。誠に残念だ。
スポーツは、談合や裏金や賄賂がない世界、実力がすべての世界であり、すがすがしい非現実世界、非日常世界を見せてくれる面をもっている。普通人ができないパフォーマンスを天才達がファンの前で演じてくれる、それが最大の魅力だ。健全な青少年の目の前で、「負け」が「勝ち」とされるたならば、スポーツに対する信頼が損なわれる。亀田ブームがボクシングに目を向ける青少年を増やしたのならば、それを裏切ったのも亀田ブームというわけだ。ボクシングは胡散臭いものだ、でいいのだろうか。


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