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2004年10月29日(金) 疑惑のボール

報道によると、読売の上原投手が、プロ野球使用球の国際基準化を訴えたという。「世界大会をやるのだったらボールを統一してほしい。(国際)試合をやる以前の問題」と、使用球の“統一化”を求めたようだ。
日本のプロ野球では、メーカーによって飛び方に差が出るというのはいまや常識。なかでも、東京ドームの読売主催ゲームが最も飛ぶボールで、中日主催の名古屋ドームのゲームが最も飛ばないボールだと言われている。このことは、かなり前だが、当コラムで取り上げた。
ホームラン打者が最も多いのが読売、しかも最もよく飛ぶボールを使用し、チームホームラン最多の記録を更新しながら、優勝したのは最も飛ばないボールを使用した中日だった。今シーズンのセリーグの順位が、ホームラン数が多いからといって、必ずしも優勝できるとは限らないことを証明した。言うまでもなく、野球が必要としているのは有効打であって、ホームランの数ではない。
アテネ五輪においては、ナガシマジャパンと呼ばれた日本代表は銅メダルに終わったことは記憶に新しい。その五輪で活躍した読売の上原投手が、11月5日開幕の日米野球に向け、8月のアテネ五輪での使用球で練習中だという。「これをそのまま使うのも1つ。今年はいろいろな問題があったから、どうせなら全部見直せばいい」と改革を訴えたようだ。
読売のエース・上原投手は、自らが所属する球団の使用球を批判したことになるのだが、正真正銘の力勝負を求める“スポーツマン”なら、当然の発想だ。上原発言は、読売が描く「プロ野球像」の崩壊を示す現象の1つだ。読売は、怪しげな飛ぶボールでホームランの量産を狙い、「ファンの夢」を叶えたつもりだろうが、本格的なスポーツとしての野球を求めるファンにとって、バブリーな「ホームラン」など見たくない。読売が力と力の正当な勝負の原点を追求しないのならば、「読売プロレス野球」は自壊する。読売=日本プロ野球機構は、スポーツマン・上原の提言に耳を傾けることができるのだろうか。


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