前アテネ五輪男子代表監督の山本昌邦氏(46)が28日、Jリーグ1部(J1)磐田の新監督に決まった。報道によると、山本氏の契約期間は11月1日から2008年1月末までの3年3カ月。磐田は会見で、山本氏を取締役会などで発言できる執行役員とし、チーム再建を託すと発表したという。山本氏がJリーグの監督に就任したことは喜ばしい。私もそれを願っていた。 山本氏はアジア地区におけるアテネ五輪予選を勝ち抜き、日本のスポーツマスコミでは“名将”と評価されていたが、私は当コラムでそのことに異を唱え続けてきた。日本五輪代表はメダルが期待されたが、本番の予選リーグで「死のグループ」に入ったこともあり、2連敗して早々と消えたことは記憶に新しい。 山本氏の弱点は、言うまでもなく、監督経験がないことだった。日本代表チームではトルシエ監督の下、ヘッドコーチを務めたけれど、監督ではない。だから、結果にこだわる泥臭い勝負を知らない。アジア予選から采配に甘さが目立ったものの、中東勢の自滅に助けられて、予選を突破してしまった。結果責任は果たしたものの、本番ではパラグアイ、イタリアにあしらわれた。 そんな山本氏がJリーグの荒波にもまれる道をいよいよ、選んだわけだ。お手並み拝見、期待して見守りたいところだが、一つだけ気に入らないことがある。それは、磐田が山本氏に執行役員の肩書きをつけたことだ。他人の進路について文句をつける筋合いはないが、勝負に生きる監督稼業に「役員」は似合わない。執行役員の任期は監督を辞したときに切れるのならば問題ないけれど、磐田が山本氏が成績不振で監督を辞することになった場合でも、役員として磐田に残れるよう配慮したのならば、残念というほかない。選手は成績が悪ければお払い箱、監督だって成績が悪ければ、同じだろう。退路を断たなければ、真剣勝負はできないのではないか。 私は日本サッカーの弱点は、いい指導者がいないことだと思っている。日本人選手は欧州等に進出できているが、日本人指導者には、まったく声がかからない。サッカーの歴史が浅い日本だから、この弱点はそう簡単に克服できるものではない。だから、いまは海外からいい指導者をつれてくる時期に当たる。でも、そのような状況にあって、山本氏は日本サッカー界において、海外で活躍できる可能性の最も高い指導者の一人だと思う。 日本サッカー界では指導者になるためにS級?ライセンスとかを設けていると聞く。そうした制度が不要だとは言わないが、いまのJリーグの日本人監督たちが、海外の代表チーム等から呼ばれるようにならなければ、ライセンス制度が効果を発揮しているとは言えない。世界のサッカー界において、日本人選手とともに日本人監督が活躍するようにならなければいけない。 「監督」が、ライセンス制度や執行役員という身分で守られているのなら、Jリーグがスポーツ官僚を召抱えているににすぎないではないか。
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