元明大野球部・一場靖弘投手(22)の獲得を巡り、横浜の砂原幸雄オーナー、阪神の久万俊二郎オーナーと野崎勝義球団社長が22日、相次いで辞任を表明した。両球団とも同投手に担当スカウトが現金を渡していた事実を公表、日本学生野球憲章に抵触したとしてオーナーが引責するもの。8月には巨人・渡辺恒雄オーナーが同じ問題で辞任しており、まさに異例の事態となった。 報道によると、この事件には、外部からの告発状の存在があったことが伝えられている。この怪文書によると、横浜と阪神が金銭を提供していたことを明らかにし、さらに、すし屋、韓国バーでスカウトや現役選手(明大OB)が一場選手と“懇談”しているのも見届けていること、さらに、金銭授受の際の領収証とみられる書面のコピー、スカウトが「ここにサインを」と求めている録音テープ、一場投手がサインをしている写真――の3点を持っていると書いてあったらしい。 「一場事件」から、いま現在表面化していない疑惑の存在をいくつか推測できる。第一は、裏金をもらっているアマチュア選手は、一場投手にとどまらない、ということだ。 第二は、一場投手への金銭提供が読売、横浜、阪神と複数あるということは、提供側ばかりでなく、受領側(つまり一場投手側)にも、金銭受領を容認する姿勢があったのではないかということだ。一場投手のプロ側との交渉窓口は、明大野球部の関係者だともいう。 そのことと関係するが、第三は、明大野球部の体質だ。明大OBといえば、阪神元監督のH氏が有名だ。H氏は阪神のオーナー付きシニアディレクターで、「熱血漢」としてCMにひっぱりだこ。「理想の上司」ナンバーワンに選ばれたり、読売が推進した「1リーグ制」に反対して正義の味方のような評価を受けている。しかし、明大OBで阪神のシニアディレクターのH氏が、この事件と無関係だと断じることは不自然だ。かりに無関係だったとしても、阪神球団オーナーの久万氏が辞任したならば、当然、H氏も辞任すべきだ。もちろん辞任する前に、事件との関係について、明らかにしてほしい。 このコラムで何度も書いてきたことだけれど、日本プロ野球は「文化」ではないし、娯楽として、常に「ファンの夢」を裏切り続けてきた。有力選手の入団にまつわる疑惑としては、「別所事件」「長嶋事件」「江川事件」が有名だが、西武はM投手の、読売はT外野手の父親の借金を球団が肩代わりして本人達を入団させているし、読売のK投手自身の借金を球団が肩代わりしていることは有名だ。 制度については、ドラフト制度廃止、逆指名制度・自由枠制度の新設から、このたびの裏金事件が発生している。しかも、裏金については何度も、ミニコミや夕刊紙が取り上げていたにもかかわらず、スポーツマスコミ、大新聞は無視してきた。その一方で、大新聞は企業の私財にすぎないプロ野球球団を公共財だと言いくるめ、その自由な売買の流れを阻害してきた。 このたびの裏金発覚が怪文書をきっかけとしていることは、日本プロ野球と大新聞・スポーツマスコミとの癒着を象徴している。新聞が書かないのなら仕方がない、怪文書というカタチで出すしかないではないか。ライブドアのアダルトサイトどころの話ではない。プロ野球球団は赤字だというが、球団は、裏金を会計上、どう処理していたのだ。明らかにコンプライアンスに反している(法令違反)。
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