妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2009年05月18日(月) |
『サウンドトラック 下』(小) |
【古川日出男 集英社文庫】
解説が珍しいことに柴田元幸なんですよねぇ。 日本の小説の解説で見かけるのは珍しい、ですよね? ということで、 「ヒートアイランド化を通り越して文字どおり熱帯と化した東京で、漫画的なドタバタさと黙示録的な深遠さを兼ね備えたすさまじいクライマックスに向かって物語りはつっ走っていく」 という柴田氏の言葉そのままの下巻でした。
舞台が丁度2009年に突入し、熱帯と化した東京では本来流行るはずのない病気が蔓延し始めるという、なんだか今流行の新型インフルエンザを思い出さずにはいられない展開。 しかし主人公達は不思議と感染とは無縁に、馬鹿馬鹿しいほどの狂騒を演じる都民をよそに、ヒツジコは踊り、トウタはレニを守りつつ破壊を目指す。 そして最後の最後の最後にようやく二人の人生はもう一時交差するのだけれど、その後のことは一切わからない。 東京の狂乱は一切収束することも無く、混沌のまま終わる。 なんとも想像力を試されるラストです。
地方人の一部にはどうも東京壊滅願望があるんだろうなぁと読みつつ思いました。 あの大都市がこの国からなくなったらどうなるんだろうなぁと。 大抵の物語は東京が舞台なのだけれど、本当にどんな荒唐無稽な設定も飲み込む場所です。
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