妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次前のページ次のページ


2008年10月13日(月) 『魔王』(小)

【伊坂幸太郎 講談社文庫】

『グラスホッパー』あたりからやや、書きたいことが変わってきたのかなぁという印象の伊坂ですが、「魔王」「呼吸」と読むとその印象も強くなります。
伊坂の小説にしては、爽快感に欠ける読後感。
過渡期、というかターニングポイントな一作なのかな、と。

伊坂キャラは団体行動が苦手そうだな、と改めて実感しました。

「魔王」
安藤兄の方が主人公。
途中で千葉が出てきたので、まさか・・・とは思いましたが。
私も安藤兄タイプで、なんでもかんでも考えてしまうので、考えすぎだよ兄、とは思えなかった。
兄は結局、自分の能力を本当に有効には使えなかった、という印象の終わり方ではあったけれど、実はそうでもなかったのかな、と「呼吸」で犬養が再び同じセリフを言ったところで思い直します。

ごきぶりを「ごきげんよう、ひさしぶり」と呼ぶ潤也が可愛いなと。

「呼吸」
魔王から5年後の話し。
潤也ではなく、その妻となった詩織の視点からの話し。
世の中の流れに流されることを危惧して、真っ向から立ち向かってた兄と違って、こちらの二人は情報をシャットダウンして社会から少し距離を置く、というやり方で流されることを避けている、んだと思う。
潤也はわからないけれど、詩織には避けているという明確な意思はなさそうだけれども。
投票用紙に○をつけるところなんかも、あまり自覚的ではなさそうだし。
潤也が何をしようとしていたのか、これからどういう国になっていくのかはわからないままに、話しはぷつりと終わる。
「考えろ」ということなのだろうな。これは。そんな気がする。



蒼子 |MAILHomePage

My追加