妄言読書日記
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2008年06月07日(土) 『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』『子猫が読む乱暴者日記』(小)

【西尾維新 講談社文庫】

ようやく文庫化したと思ったら、“西尾維新文庫”って講談社の肩入れ具合は凄いな。

なにやら素っ頓狂なタイトルなのだけど、読むと内容そのままのタイトルだとわかる。
メフィスト賞なのでミステリには違いないのだけど、青春小説の色合いが強い気がした。
森博嗣をさらに漫画的にした印象。
天才インフレが起こってて、天才ってなんですかというか、凡人っていったいなんですか状態。
天才が寄り集まっての事件だけど、事件そのものはミステリとしてはさほど入り組んでおらず、わりとすっきり推理しやすい。
ただ天才がどれくらい天才なのかはかりしれないので、ややアンフェアな気がするんだけど。何が可能で何が不可能なんだか。
もっと難解とか理解不能なのを想像してたので、意外と正統派でした。
麻耶とか舞城とか清涼院みたいな感じかと思った。
(いや三人とも全然作風違いますが)

一見するとできのいいライノベとしか見えないんだけど、実は維新と同じ歳なので、いーちゃんを中心に周囲を固める天才たちが、作者自身の核と、それを批判、追及、糾弾、肯定する自我の投影に見えちゃって、それが二十歳頃の自分を思い出してなんともその青さが気恥ずかしかった・・・。
いーちゃんの生きたくもないが死ぬのもいやだ、みたいな感じや、ところどころにみえる自負心や、戯言という盾が、まぁ本当に面映いわけで。
天才たちがみんな女性なのもなにやら気恥ずかしさがある。
デビューして7年ほど経つので、今現在どんなふうになってるのか気にかかる。

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【中原昌也 河出書房新社】

短編集なのだけれど、いったいこれを小説と呼ぶのだろうか。
話の筋もありはしないし、視点も定まらず人称も定まらず、起承転結なんてあるはずもなく。
文章の印象は川上未映子なのだけど(中原昌也も音楽活動してるからか)あれほど洗練はされておらず、突発的な暴力衝動は舞城を思い出すけど、あれほど文章は吟味されていない。
全てが投げやりのような、どうでもいいような、放り投げたような印象。書いていることもかなりいい加減だし。
収録されてる「闘う意志なし、しかし、殺したい」というタイトルに印象の全てが詰まっていると思う。
からっからに乾いた印象なのだけれど、確実に何かにイラついていて憎悪している気配はある。

だけどこれをよしとするのもどうかなぁという気はしてしまう。
書くのが嫌だってことだけは如実に伝わってくるが。



蒼子 |MAILHomePage

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