妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2007年09月21日(金) |
『グラスホッパー』(小) |
【伊坂幸太郎 角川文庫】
伊坂はこんなに売れっ子なのに、毎回毎回新しいこと新しいことに挑戦しようとしている姿勢が素晴らしい。 きっと、適度に文章が上手くないのが逆にいいのかも。 売れている状況とは全く無関係に、書こう書こうとしているように見える。 私が勝手にそう感じているだけなのかもしれませんけれど。
三人の殺し屋と、普通の青年の4つの視点から語られます。 解説で4人の一人称って書いてますけど、これ、三人称ですから。 伊坂にしては珍しい、全部三人称で書かれている話し。 このおかげで、4人の行動や思考が高みから俯瞰されているような印象を受ける。いつもよりも突き放したような印象を受けるのもそのせいかも。
以下はネタバレを含みます。
軽い文体に比して、重いテーマや残酷なエピソードを真っ向から扱う伊坂ですが、今回は軽いトーンを少し抑えていたように思います。 他の作品に比べて死んでいくキャラクターも多いし。 三人出てくる殺し屋のうち二人までが死んでしまう。槿にしたってあのあとどうなったのか。 『アヒルと鴨〜』で書いたものをさらに一歩踏み込んだ、というような印象を受けました。
伊坂作品の、主人公サイドにいる女性っていっつも似たような女性な上にあまり書くのは上手くないんだけれど、不思議と嫌いではない。 鈴木の殺された妻も、変なキャラクターなのだけれど、憎めない。すみれにしてもそう。
「僕は、君のために結構頑張ってるんじゃないかな」と最後の方で、鈴木が思うシーンは、なんだか切ない。 君のために頑張るというのは、生きている相手に言うのは重荷のように感じるのだけれど、死んでしまっている妻に対して思うのはなんだかとても切ないことのように思う。
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