妄言読書日記
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2007年01月21日(日) 『ウースター家の掟』『偶然の音楽』『百舌の叫ぶ夜』(小)

【P・G・ウッドハウス 訳:藤森たまき 国書刊行会】

今回は長編。
服装ではなくて、世界一周クルージングに行きたいジーヴスと、行くのが面倒臭いご主人さまの確執で幕を開けます。
なんだか逆ではないのか?と思いつつ、相変わらずの二人です。

終盤のウシ型クリーマー及び、手帳、そしてヘルメットという小道具の錯綜具合がさすがです。
次から次へと降って沸いて来るトラブルに笑いを禁じえません。
さすがのジーヴスも、箪笥の上に上ったり、トランクを開けて呆然としてみたり、部屋の外で舌打ちしてみたりとなかなか見慣れないシーンが目白押し。

愛すべきダリアおばさんと、バーティーのやり取りにも心温まります。多分。
訳者あとがきにて、

(それゆけ〜について)途方に暮れるバーティーの許にジーヴスがいそいそと通って甲斐甲斐しく着るものを用意してくれたとき、我々は「ああ、ジーヴスはバーティーのことが本当に好きなんだ」と、涙が出るほど嬉しく思った。〜中略〜ダリア叔母さんへの思いが決して一方通行ではないことを知り、再び安堵し、じわじわと胸温まる思いにさせられるのである。〜中略〜「よかった!」と我々は感動する。バーティー・ウースターは愛されていたのだ、と。

と書いてあって、バーティーがいつもあまりに不当に扱われているような気がしていたのは何も、私だけじゃなかったんだとほっとしました。
本当に、全くその通り!
今回は珍しく、穏やかにバーティーにとって不当なことなく幕を閉じる珍しい話でした。

+++++++
【ポール・オールスター 訳:柴田元幸 新潮文庫】

この本が読みたかったというよりは、柴田氏の訳が読みたくなったので読んでみました。
どこまで読んでも、物語の着地点が見えてこない、不思議な小説でしたが、さらりとした悲しみとか喪失感とか絶望が、全体に漂っていました。
曖昧ではないのだけれど、なんだか不確かな読み心地。

読み終わった後にちょっと孤独な気分になります。

+++++++
【逢坂剛 集英社文庫】

読み始めたのがすでに半年近く前なので、後半になって、この小説のからくり自体が見えてきたときに、最初の方の伏線がいまいち思い出せないという、駄目読者ぶりで、申し訳ない気持ちです。
前半の、なんだかよくわからない錯綜は、こういうことなのかとわかってからはスムーズ、むしろ熱中して読んだのですが。

長く読まれる本にはさすがの風格があり、読み終わった後に、うーむとなります。
最後の、倉木、室井、若松の対峙シーンは、こんなに醜悪なシーンがあっただろうかと言うほどの、男達の身勝手な真相暴露シーンでした。
思わず感心してしまう。

ま、やっぱり女性の描写が微妙ですが。
百舌と倉木のやり取りはなかなか見所でした。



蒼子 |MAILHomePage

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