妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【梨木香歩 新潮社文庫】
日常に不思議な出来事が自然に紛れ込んでいる話しが、昔から好きなので、これも読むのを楽しみにしておりました。
亡くなった友人の家の守を頼まれた、駆け出し文士の綿貫征四郎の話しです。 庭のサルスベリに惚れられたり、掛け軸から友人が帰ってきたり、犬は河童と仲良くなる、そんな不思議な事柄を、なんとはなしに受け入れる綿貫の視点のため、不思議なことも不思議ではないような気持ちになります。 私は、不思議でちょっと恐い路線が好きなので、その辺少々物足りない気もするのですが、長虫屋なんてのはちょっと不気味な存在でよかったです。 「ススキ」、とか、「サザンカ」が好きでした。 それと、「セツブンソウ」の最後の方のやり取り。
私は、ああ、そうだ、これが高堂と自分との決定的な差異なのだと悟った。私は急に、私たちの前から忽然と姿を消した高堂に対して、恨みのような思いが湧き上がるのを感じた。
というくだりなんて、好き。 「私の精神を養わない」というくだりも好きですけれど、私は悩んだり惑ったりしている人が何より好きです。
解説では、日本の懐かしい原風景があると書かれているのですが、確かに懐かしい日本を舞台にしているのに、どうしてか私には日本的な印象が薄かったです。 むしろヨーロッパの片田舎を舞台にした方が、この人の文章には合うような気さえしました。
本編に関係ないのですが解説で、本屋で偶然目にした本に我知らず手が伸びることがある、と書いてあって、本が好きな人はみんなそうなんだなぁと思いました。 そして、そういう時に出会った本は間違いが無い、というのも。 本屋での直感は大事にしたいものです。 (本当に関係ない締めだなぁ)
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